加瀬亮×木竜麻生『鈴木家の嘘』対談 「すごく純粋に出発した映画に参加できた」
映画『鈴木家の嘘』が11月16日より公開中だ。“作家主義”と“俳優発掘”をテーマに 、『恋人たち』『滝を見にいく』などの作品を生み出してきた松竹ブロードキャスティングオリジナル映画製作プロジェクト第6弾となる本作は、橋口亮輔監督、石井裕也監督、大森立嗣監督ら、数多くの作品で助監督を務めてきた野尻克己の劇場映画監督デビュー作。引きこもりの長男の突然の死に直面した家族の混乱と再生を笑いと涙で綴る。
今回リアルサウンド映画部では、自らこの世を去った引きこもりの長男・浩一役を演じた加瀬亮と、その妹である富美役を演じた木竜麻生にインタビュー。野尻監督への強い想い、二人の両親役を演じた岸部一徳、原日出子らとのエピソード、充実感に満ちていたという現場の雰囲気まで話を聞いた。
加瀬「絶対いい映画になって欲しいという思いでした」
ーー改めて本作の撮影を振り返ってみていかがですか?
木竜麻生(以下、木竜):大変は大変でしたし、いろんなことを考えた時間だったんですけど、撮影の間は私にとってものすごく幸せでした。
加瀬亮(以下、加瀬):野尻監督のデビュー作なので、絶対いい映画になって欲しいという思いでした。
ーー野尻監督とは現場で一緒にお仕事された経験はあるんですか?
木竜:私は初めて映画の現場に入らせていただいた時に、野尻監督が助監督をされていて、その1回だけですね。
加瀬:僕はもう何度も。約18年~19年の付き合いになります。ちなみに、野尻監督が助監督をしている現場は寝れない、大変というジンクスが僕の中ではあります(笑)。
ーー今回は寝られました?(笑)
加瀬:今回は僕はそんなに撮影日数が多くなかったので大丈夫でした。
ーー撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?
木竜:すごくよかったと思います。スタッフのみなさんが野尻さんの作る映画を観たいと思って現場にいるという雰囲気を毎日感じられて、素敵な現場でした。
加瀬:僕は、初日だけ変な感じがしましたね。監督している姿を見たのが初めてだったので(笑)。でも2日目からは、もう野尻さんが監督として立っている感じがしました。
ーー加瀬さんと木竜さんとのやり取りは?
加瀬:ここ(加瀬と木竜)はおしゃべりが禁止されていました。
ーーおしゃべり禁止の理由は、監督から聞いていたんですか?
加瀬:僕は知らないんですよね。聞いてた?
木竜:野尻監督は「加瀬さんは優しいから、話したら優しい部分が見えてしまって、富美という役に入りづらくなる」と言っていました。でも加瀬さんとは1回だけ、映画とは関係なく「音楽はなに聞くの?」みたいな話をしました。