バラエティだけじゃない 関ジャニ∞ 村上信五、幅広い役を器用にこなす役者としてのポテンシャル

 さらに、彼の演技はリアリティがある。というのも、どんな役でも全て“村上信五”なのである。賛否両論はあるが、ひとつの演技ブランディングではないかと思う。声のトーンや仕草など、バラエティで見る“村上信五”ゆえ、「このドラマの中に村上が迷い込んだら……」という視点で見ることができる。ある意味、素っぽさが垣間見え、リアルさが表れているのだ。例えば『生きてるだけで なんくるないさ』では、若くして悪性腫瘍を発病したシリアスで難しい役だったが、「村上がこの役のような状態になったらこういう反応を取るのかもしれない」というリアリティを感じた。

 これは、『ありえへん∞世界 3時間SP』のスペシャルドラマでも健在だった。中国マフィア検挙のために1年半潜入捜査を行い、結婚披露宴を利用して一斉逮捕するという事件の再現ドラマで潜入捜査官を演じた村上。村上演じる周刑事は、自身の合図で警官が一斉に踏み込むという大役を担っている。ともなると、演者としては顔に緊張感が表れたり、声が強張ったりするものだが、村上は一切ない。かといって、今までのコント色が強い再現ドラマとは違い、顔にしまりがないわけでもない。先輩マフィアに潜入捜査がバレそうになった時の焦ったような顔はリアルそのものだ。あくまでも、“大役を担った村上信五”なのである。

 以前、『しゃべくり007』(日本テレビ系)で、「歌、演技、バラエティ、どれを選ぶ?」と質問された際、なんの迷いもなく食い気味に「バラエティ」と答えていた村上。だが実は、どの仕事もそつなくこなす“Mr.器用”なのだ。バラエティは言わずもがな、歌はデビュー当時と比べて格段に上手くなっているし、演技も独自のスタイルで的確にこなす。バラエティのイメージが強い彼だが、村上はジャニーズのマルチタレントの筆頭と言えるのではないだろうか。

(文=高橋梓)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる