物語は後半戦に突入 中島健人『ドロ刑』第6話、東野圭吾を思わせる感動エピソードに

『ドロ刑』後半戦に突入

 よく刑事ドラマで耳にする「現場検証」とは令状の有無という違いがあり、あくまでも「実況見分」は任意によるものだ。それゆえ斑目たちが訪ねて歩く事件現場の家々にも捜査協力の依頼が“任意”という形で行われていて、誰かしらが許可を出す流れがあったのだろう。しかし、行く先々で罵声を浴びせられたり水をかけられたりする鳥飼。ここには犯罪者に対して向けられる世間の目という意味合いも込められているだろうが、それと同時に、家族であっても決して同じ方向を向いていないという点が、鳥海の家族にあった不協和と重なって見える。

 また「クレプトマニア」とはいわゆる「窃盗症」という精神疾患のひとつとして定義されていて、DSM-5(精神障害の診断と統計の手引き)による診断基準では金銭的価値のためでなく窃盗の衝動に抵抗できなくなることであったり、それから得られる緊張感や達成感を求めてしまう、いわば「窃盗」という行為を欲して「窃盗」を繰り返してしまうということだ。劇中で美希が語るように「盗んだものへの執着がない」という特徴もあり、近年社会問題とされている高齢者の万引きなども、その一例としていわれているのだ。

 ところで今回は、すでに逮捕拘留されている窃盗犯の内情に迫るというプロットということもあって、煙鴉からのサポートもアドバイスもなく物語が進んでいった(美希を襲った男の情報を得るだけに留まった)。斑目が13係の心配を何故してくれるのか問うと、煙鴉は「ちゃんとしてほしいからだよ。お前らには」と答える。そしてラストには「GOOD BYE」のメッセージを斑目に残す。煙鴉は斑目と13係の成長を見守りながら、自分のことを捕まえてほしいと思っているようにも見える。いずれにせよ、ドラマも後半戦に突入し、大きく動き始めたようだ。

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■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『ドロ刑 -警視庁捜査三課‐』
日本テレビ系にて毎週土曜22:00~22:54放送
出演:中島健人(Sexy Zone)、遠藤憲一、石橋杏奈、中村倫也、江口のりこ、野間口徹、田中道子、生島翔、丸山智己、板尾創路、稲森いずみ
原作:『ドロ刑』福田秀(集英社「週刊ヤングジャンプ」 連載)
脚本:林宏司
音楽:木村秀彬
主題歌:Sexy Zone 「カラクリだらけのテンダネス」(ポニーキャニオン)
演出:大谷太郎、中島悟(AXON)、高橋朋広
制作協力:The icon
製作著作:日本テレビ
(c)日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/dorokei/
番組公式Twitter アカウント : @dorokei_ntv

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