瀬戸康史、天性の“人懐っこさ”を発揮 『まんぷく』神部役で物語を動かす

瀬戸康史、天性の“人懐っこさ”を発揮

 NHKの連続テレビ小説『まんぷく』。11月1日から登場した瀬戸康史は、戦争によって仕事も家も唯一の家族である母も亡くし、天涯孤独となった青年・神部茂を演じる。11月5日〜11月10日に放送の第6週から始まる萬平(長谷川博己)の新しい事業において、重要な役割を担う。

 瀬戸はこれまで、舞台、テレビドラマ、映画と幅広く活躍してきた。演じる役柄によって、雰囲気をガラリと変える瀬戸。作中では明かされないキャラクターの背景までも感じさせる演技が魅力的な俳優だ。

 『透明なゆりかご』(NHK総合)では、それぞれの事情を抱えた妊婦たちと向き合う産婦人科の院長を演じた。冷静沈着な医師でありながら、妊婦に対し誰よりも強い誠意を見せる姿が印象的だ。

 『海月姫』(フジテレビ系)では、”女装美男子”の鯉淵蔵之介を演じ、クラゲオタクな主人公の人生をガラリと変える重要な役割を担った。可愛らしい洋服に身を包む瀬戸の美しさも魅力的だった。

 映画『寝ても覚めても』では、主人公の初恋相手と同じ顔をもつ男の同僚・串橋を演じた。串橋は、今どきのドライな青年だ。自分がかつて追っていた夢を追う女性に辛辣な態度をとるシーンでは、夢を諦めた彼の生々しい嫉妬心が表現され、若者特有の鬱屈とした感情を感じられた。

 『まんぷく』で瀬戸が演じる神部は、戦争によって仕事も金もなくなり、主人公・福子(安藤サクラ)の姉の香田家で盗みを働こうとする。しかしその初登場シーンから、神部が決して根っからの悪人ではないことが伝わってくる。生きるために仕方なく盗みを選択した神部。「警察だけは堪忍してください」と頼む神部の目に悪意はない。その後空腹で倒れ、福子たちにすいとんを食べさせてもらうシーンでは、いたって普通の青年の顔に戻り、彼本来の姿が見えてくる。瀬戸が神部を演じるとき、印象的なのはその目だ。神部のどこか憎めない部分を悪意のない人懐っこい目で演じる。

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