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立川シネマシティ・遠山武志の“娯楽の設計”第33回

旧作上映に映画館の“意志”が現れる 「午前十時の映画祭」10年間の文化的功績

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 東京は立川にある独立系シネコン、【極上爆音上映】等で知られる“シネマシティ”の企画担当遠山がシネコンの仕事を紹介したり、映画館の未来を提案するこのコラム、第33回は“シネコンでの旧作上映”について。

 先日、映画史に残る名作の数々を1~2週替わりで朝10時から上映する企画上映《午前十時の映画祭》(公式サイト)が、コスト負担の厳しさなどの理由で来年度が最終シリーズになることが発表されました。

 このコラムの第26回でも取り上げましたが、僕はこの企画をものすごく素晴らしいと思っていますし、同様のことをやりたいと望んでいた熱意を汲んでもらい、シネマシティを上映仲間にいれていただいた大恩を忘れることはなく、ただルール通りに淡々と上映していくだけでなく、音楽モノは音響調整を行ったり、ときには朝だけでなく昼や夜にも上映回数を増やしたり工夫を凝らして、“映画をスクリーンで観る幸福”を訴えてきました。

 おかげさまで、東京とはいえども「都下」と括られ、都の仲間にいれてもらえない感(笑)の立川市にある映画館ながらたくさんの映画ファンにご来場いただき、直近なら『トップガン』では1館のみで全国シェア10数%というトップの成績を収めることができました。

 ただ、10年目で終了というのは、キリがいいというだけでなく、むしろ企画としては長すぎるほど十分な期間やってきたので区切りをつけるには良いタイミングかとは思います。

 料金を一般1,100円/学生以下500円という低価格に設定したことや、絶対朝10時上映開始という縛りは劇場にとって負担が大きすぎるので、このあたりを見直してぜひリボーンしていただきたいです。

 しかし、それにしても残念ではあります。僕は旧作の上映にこそ、映画館の未来を切り拓く戦略のひとつが秘められていると考えているからです。やろうと思ってもこの企画ほどの大きな規模でリバイバル上映を行うことは零細シネコンにはまったく不可能です。スクリーンではもはや観られるはずもないと思われていた数々の名作が全国で上映されてきたという文化的功績は小さくないと思います。

 旧作上映は特に洋画の場合が難しく、洋画は海外の権利元から「上映権」という権利を買って上映を行うということになります。

 配給会社によって異なりますが、たいてい新作として公開されて短いと1年とか2年、最長でも7年で上映権は切れます。まれに延長される作品もありますが、ほとんどの洋画は公開から5年も経とうものならもう劇場で観ることは困難です。

 それでも上映したい、となると、配給会社に手配を頼み込むか、自ら海外と交渉するかということになります。もちろんどんな作品でもOKなわけではなく、何がいけそうかというのは情報収集にかかっています。

 しかしそもそも、旧作上映を行ってもはっきり言ってたいしたお金が動くわけではない、というのがイタいところです。配給会社は新作を売りたいのに手間をお掛けするばかりか、こちらとしてはなるべく安くしてもらわなければ一部の大人気作品以外は赤字です。

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