『昭和元禄落語心中』失敗や悲しみが芸の肥やしに 2人の死が岡田将生に遺したもの

『昭和元禄落語心中』が描く光と闇

 NHKドラマ10『昭和元禄落語心中』の第6話では、みよ吉(大政絢)と助六(山崎育三郎)の死の真相が明らかになった。

 菊比古(岡田将生)は、破門された助六を連れ戻すため、彼と娘である小夏のもとを訪れた。そして、助六の借金を返すために、3人での共同生活を始める。菊比古は、助六の落語界への復帰、そして八雲襲名のために「二人会」を開くことに。助六は、再び客の前で噺をすることとなった。

 大一番で助六の選んだ根多は「芝浜」。大金の入った財布を拾ったろくでなしの男に「あれは夢だよ」と嘘をつき、更生させる妻の人情話であるが、このような根多は本来、助六が得意とする噺ではない。子供が生まれてもなお、菊比古のことが忘れられないみよ吉を愛し、小夏と苦しい生活を続けてきた助六の噺は、実感と説得力が込められ、名演となった。

 一方、菊比古が来ていることを知ったみよ吉は再び、彼の懐へ擦り寄る。菊比古は、みよ吉と助六の人生を歪めてしまったことに責任感を覚えており、彼女の言葉に抗うことができなかった。「一緒に死んじゃおうか」と囁くみよ吉に対し、菊比古が何も言葉を返せずにいると、助六が現れた。

 「落語はやめて真っ当に働く。お前と小夏は俺の宝だ」。みよ吉を失うかもしれないという思いが、助六にとって一番大切なものを気づかせた。しかし現実は残酷で、窓辺にいたみよ吉と、助けようとした助六が転落してしまう。

 助六に落語をやってもらいたかった菊比古、みよ吉と幸せな家庭を作りたかった助六、菊比古と一緒にいたかったみよ吉。落語を中心に三者の思いが絡み合った結果、助六とみよ吉の死を招いてしまった。

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