佐藤健は今なぜ“ドラマ”で輝くのか? 『半分、青い。』『義母と娘のブルース』真逆の役を好演

佐藤健、『半分、青い。』『ぎぼむす』で好演

 一番それが感じられたのは、律の母親の和子(原田知世)が病気で亡くなる直前のことだった。このシーンを見るまでは、律が母親のことをずっと「和子さん」と呼んでいたことに、意味があるとは考えてもみなかった。しかし、律は和子さんのために買ってきた季節外れの苺を食べながら、しゃべるぬいぐるみ・岐阜犬を通して(岐阜犬の声は、和子さんである)初めて、和子さんのことを「お母さん」と呼ぶのだ。

 人から見たら、些細なことでも、いつでも心にブレーキがかかっている律には「お母さん」と呼ぶことすらハードルが高いまま40年近くを生きてきたのだ。この回は、5か月見てきた律の本質が凝縮されていたように思う。

 そんな風に律に心のハードルやブレーキがあり、鈴愛には鈴愛の人生のペースがあるからこそ、ふたりは思いが通じているのにすれちがったまま40歳になろうとしている。しかし、長く連載しているラブコメ少女漫画というのは、好きという気持ちがわかっていながらも、それが勘違いであったり、すれ違いがあったりして、読者をヤキモキさせるからこそ、長く続くのである。本作も、そんなところが人気のひとつでもあるのではないだろうか。

 『半分、青い。』の中で律として生きながら、現在は視聴率も好調な『義母と娘のブルース』に出演している佐藤健。

 こちらでは、うってかわって、律のような複雑さの一切ないパン屋の店長・麦田を演じている。同じ時期にまったく違う役を演じたら視聴者は混乱しそうだが、不思議とそんな感覚がないのは、逆に似たところがないからなのだろうか。

 『半分、青い。』で、律のように、俯瞰して考える繊細な役、それも本人と重なるような役をじっくりとやったことで、なんとなく見ているこちらも、佐藤健が自分をさらけだした演技をしているように受けとめられたところがあるような気がする。そのことで、正反対の役を演じても、俳優として応援してしまうのかもしれない。

■西森路代
ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクション、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一/佐藤健、原田知世、谷原章介/奈緒、矢本悠馬、石橋静河、余貴美子、風吹ジュン、中村雅俊、上村海成/清野菜名、志尊淳、山崎莉里那、小西真奈美
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

火曜ドラマ『義母と娘のブルース』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜23:07放送
出演:綾瀬はるか、上白石萌歌、佐藤健、井之脇海、竹野内豊、横溝菜帆、川村陽介、橋本真実、真凛、奥山佳恵、浅利陽介、浅野和之、麻生祐未
原作:『義母と娘のブルース』(ぶんか社刊)桜沢鈴
脚本:森下佳子
プロデュース:飯田和孝、大形美佑葵
演出:平川雄一朗、中前勇児
製作著作:TBS
(c)TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/gibomusu_blues/

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