池田エライザは“硬軟自在な被写体”? 『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で示したカリスマ性

池田エライザ、確かな“カリスマ性”

 もちろんこれらは、池田の演じるという行為が表現しているものではあるはずだが、それ以上に彼女は、物語の設定やキャラクターの組み合わせ、あるいはシーンの前後の文脈に合わせて、演じる人物の手触りがガラリと変わってくる。彼女の演技者として持つ素材の一つひとつが、その状況に柔軟に反映されているように思えるのだ。彼女の持つ素材は特徴的で、いずれも強く印象に残るものだが、それらが特定のイメージに固定されてしまうことなく、つねに状況に合わせて観客に与える印象が変わっていくのである。控えめな出で立ちだからこそどんな役にも染まることができるというタイプの俳優もいるのだろうが、彼女の場合はその逆に思える。個性が活きた、“硬軟自在な被写体”とでも呼びたいところである。

 そんな池田は映画『高校デビュー』(2011)で女優デビューを果たし、2015年公開の『映画 みんな!エスパーだよ!』でヒロインに抜擢されると、女優業の活動の幅を徐々に拡げてきた。昨年は『一礼して、キス』で映画初主演を務め、今年は、テレビ版と連動して劇場版も公開された『伊藤くん A to E』や『チェリーボーイズ』などで異性へのアプローチが奔放な人物を演じ、大人びた魅力を放った。

 さらに、『となりの怪物くん』では人気俳優陣のオールスター戦の中でも一際強い存在感を示し、主演映画第2作目『ルームロンダリング』ではゆるいオフビート的展開に見事に溶け込み、ベテラン俳優勢とともに独特の世界観を構築している。

 池田の活躍を追っているものならば、彼女が女優として着実にキャリアを重ねているのは明らかだろう。しかし、彼女の姿を意識的に追わずとも、そのアクティブな活躍は誰もが日常的に目の当たりにしているのではないだろうか。

 池田は現在22歳。いまだ女子高生を演じもすれば、大人の女性をも演じきる。ネタバレになるのであまり触れないが、今作『SUNNY』での先輩女優たちとの“張り合い”は、その証明ともなるだろう。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■公開情報
『SUNNY 強い気持ち・強い愛』
全国東宝系にて公開中
出演:篠原涼子、広瀬すず、小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美、池田エライザ、山本舞香、野田美桜、田辺桃子、富田望生、三浦春馬、リリー・フランキー、板谷由夏
原作:『Sunny』CJ E&M CORPORATION
監督・脚本:大根仁
音楽:小室哲哉
配給:東宝
(c)2018「SUNNY」製作委員会
公式サイト:http://sunny-movie.jp/

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