池田エライザは“硬軟自在な被写体”? 『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で示したカリスマ性

池田エライザ、確かな“カリスマ性”

 大ヒットした韓国映画のリメイク情報が発表されてからというもの、かなり多くの注目を集めていた『SUNNY 強い気持ち・強い愛』で、池田エライザが女優としてさらにステップアップしている印象だ。演じ手としてのキャリア、そしてモデル出身者である抜群のプロポーションを武器に、唯一無二の存在感を示しているのだ。

 物語の舞台は90年代の日本。茶髪にルーズソックスが大きな特徴の、“コギャル文化”が賑やかな時代をメインに据えている。本作で池田が演じるのは、コギャルの1人の奈々というキャラクター。主人公・阿部奈美(広瀬すず)たちの所属する仲良しグループ「SUNNY」の中で、大人びたルックスにクールな物言いの1人だけ垢抜けている人物だ。演じる池田同様に奈々はモデル活動もやっており、いわば“イケてる”、皆のカリスマ的な存在なのだ。

 思えば、10代前半よりモデル活動をやってきた池田は、この奈々と重なるところが多いように思える。彼女もまた女子中高生を中心に圧倒的な支持を集め、SNSに投稿する写真への評価の高さからは“自撮りの神”とも呼ばれ、考案したポーズは大流行。“エライザポーズ”として、大きな反響を呼ぶなどしてきた。

 本作は、現在の阿部奈美(篠原涼子)が過去(90年代)を振り返るかたちで、現在と過去とが並行して描かれていく。長い手足に大きなタレ目、どこか眠たそうな声が特徴的な池田だが、これが奈々というキャラクターのつんけんした佇まいに絶妙にハマっている。彼女のまなざしは“田舎モノ”の主人公を蔑んでいるように見えるし、その声の響きには、「口をきくのも面倒くさい」といった印象を受ける。ところが主人公と心を通わせるようになってからは、まなざしにも声にも、そのすべてに優しさが湛えられている。

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