実は隠れた名脇役 『半分、青い。』の“電話”は永野芽郁と佐藤健を繋ぐ重要な役割?

『半分、青い。』電話が隠れた名脇役?

 涼次(間宮祥太朗)と離婚し、梟町に戻った鈴愛は、和子さんのために帰ってきていた律と再会を果たす。幸か不幸か。iPhone3Gが発表された2008年には、ほとんどの人が携帯電話を持っている時代。鈴愛の律への依存は、テクノロジーの進化とともに加速し、妻がいるのにも関わらず、抗議から依頼まで、すぐに電話をかけてしまうようになった。固定電話からも携帯電話からも律を呼び出す鈴愛には、少々驚かされてしまうが、その手軽さが鈴愛を暴走させるのは、分からなくもない。

 ただ、鈴愛の律依存を加速させる忌まわしき機器と化してしまうことはあれど、糸電話のように2人の電話を使ったアイデアは誰かを笑顔にさせることもある。スピーカーフォンを搭載したお悩み相談犬“岐阜犬”だ。「離れている場所にいる誰かと誰かを繋ぎたい」そのスピリットは、鈴愛と律たちが糸電話の大実験を行った頃から変わっていないのが微笑ましい。仙吉カフェの看板犬“岐阜犬”は、病気で家にこもっている和子さんが“中の人”を務めた。症状が落ち着いて元気な時に、人の悩みを聞いて優しく答える。家にこもりっぱなしの和子さんにとって、体力の使う仕事ではあったものの、毎日の楽しみになったことだろう。

 また、“岐阜犬”は、これまで面と向かって言えなかった律が、和子さんへ涙ながらに感謝の気持ちを伝えた名シーンを生み出したきっかけともなった。鈴愛と律の間にある電話は、少々ネガティブな役割に回ってしまうことはあれど、2人が生み出した電話を使った発明品は、鈴愛と律の周りの人に幸せを提供してきた。

 「高度成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜け、やがて一大発明をなしとげる」というあらすじで始まった『半分、青い。』。鈴愛と律の間に電話が存在していたのは偶然にしろ、40年近くの付き合いのある2人が生み出すアイデアと絆は、誰かのために役に立つのなにかを生み出すかもしれない。

(文=阿部桜子)

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一、上村海成/佐藤健、原田知世、谷原章介/矢本悠馬、奈緒/清野菜名、志尊淳
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

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