菅田将暉の溢れ出る“優しさ”が物語の鍵に? 『dele』ワールドが持つ誘引力を分析

『dele』ワールドが持つ誘引力を分析

 加えて、『dele』の魅力に巧みなアクションの演出がある。肉体派でアクティブな祐太郎の豪快なアクションシーンもさることながら(圭司に「重力って知ってるか?」と言わせてしまうくらいに祐太郎は派手に振る舞う)、車椅子に座る圭司にも華麗な演出をしてみせた。祐太郎の行方を探す敵役の牧野(般若)に襲われそうになると、圭司は器用に車椅子を操作して、相手の手を掴み、見事に切り返す。当初は、圭司は祐太郎と対照的に、頭脳派としての安楽椅子探偵的な立ち位置なのではないかという印象があったが、ここぞという場面で祐太郎以上のインパクトを与えた。第2話以降も見どころの一つとなるだろう。アクション監修には、脚本も務める金城一紀が参加している。『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)、『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』(カンテレ・フジテレビ系)で見せてきたハイクオリティなアクションが繰り広げられるのは合点がいくところだ。

 そして、圭司と祐太郎のそれぞれのキャラクターとその関係性についても、物語全体を通して気になるところだ。第1話冒頭で、舞は圭司に祐太郎のことを「この子は人を少しだけ優しい気持ちにすることができる」と紹介する。実際、第1話の終盤で、祐太郎のことを思って、安岡のことを詳しく話さないと決めた圭司に対して、舞は「だから言ったでしょ。あいつは人を優しい気持ちにさせるって」と呟く。もちろん舞の言うように、「人を優しい気持ちにさせる」のもその通りだが、祐太郎自身からも優しさが滲み出ている。第1話では、一件落着した後に、祐太郎は給料を前借りして、安岡の息子に記者アイテムの一つである双眼鏡をプレゼントする。その時、祐太郎は自分からのプレゼントとは言わずに、安岡が生前息子のために購入していたものをたまたま見つけたと話して、安岡の息子を心の底から喜ばせる。クールな圭司との見事な対比となっているが、今後、祐太郎がどのような形で圭司に影響を与え、また、2人のバディの強さをどう向上させていくのかが楽しみだ。

 さて、『dele』は原案の本多孝好とともに、前述の金城一紀をはじめ、瀧本智行、青島武、渡辺雄介、徳永富彦らが脚本を務め、毎話で異なる人間ドラマが繰り広げられる。圭司と祐太郎の連携プレー、そして舞が2人にどのような影響を及ぼすのかも含めて刮目したい。

(文=國重駿平)

■放送情報
金曜ナイトドラマ『dele(ディーリー)』
テレビ朝日系にて、毎週金曜23:15~深夜0:15放送(※一部地域を除く)
出演:山田孝之、菅田将暉、麻生久美子
原案・パイロット脚本:本多孝好
脚本:本多孝好、金城一紀、瀧本智行、青島武、渡辺雄介、徳永富彦
音楽: 岩崎太整、DJ MITSU THE BEATS
ゼネラルプロデューサー:黒田徹也(テレビ朝日)
プロデューサー:山田兼司(テレビ朝日)、太田雅晴(5年D組)
監督:常廣丈太(テレビ朝日)、瀧本智行
撮影:今村圭佑、榊原直記
制作協力:5年D組
制作著作:テレビ朝日
(c)テレビ朝日
公式サイト:http://dele.life/

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