中村倫也と矢本悠馬、『半分、青い。』が飛躍の契機に 実力派俳優の名を広める朝ドラの役割

朝ドラ、実力派俳優を引き上げる役割も

 今期の朝ドラ『半分、青い。』(NHK)で、新人ではないのにも関わらず、長い役者経歴から一気に急上昇した役者が2名いる。永野芽郁演じるヒロインの幼なじみのひとりとして登場する矢本悠馬と、恋の相手として出演している中村倫也だ。

 注目を集めているヒロイン・楡野鈴愛(永野芽郁)が故郷の岐阜を離れ、東京に足を踏み入れるとともに周囲の顔ぶれも一変した本作。「岐阜編」ではヒロインの幼なじみのひとりとして矢本が、「東京編」では彼女の恋の相手として中村が、それぞれが大いに展開を盛り上げている。優に10年を超えるキャリアを持つ彼らだが、週間の視聴率がつねに約20パーセントをキープしている本作だからこそ、より多くの人々の目に触れ、知名度も注目度も跳ね上がっているところだ。

 若手女優の登竜門という印象の強い朝ドラだが、それは女優に限らず俳優も同じこと。彼らの名を広める場を、この国民的ドラマは提供している。ここ最近で言えば、『とと姉ちゃん』(2016)の坂口健太郎や、『ひよっこ』(2017)の竹内涼真など、デビューから数年しか経っていない彼らの、いわゆるブレイクのきっかけとなるものであった。彼らの主演作や、大作のメインキャストでの起用が続いている事実から、もはや疑いようがないだろう。

 そんな今期の朝ドラ『半分、青い。』に出演している矢本と中村だが、矢本の朝ドラ参戦は『てるてる家族』(2003−2004)、『花子とアン』(2014)に続き3度目で、中村は『風のハルカ』(2005−2006)に続く2度目の参戦。子役出身である矢本は、『花子とアン』出演時ですでに芸歴10年を数えているが、彼が頭角を現しはじめたのはこの3年ほどといった印象ではないだろうか。

 『ちはやふる』シリーズ(2016−2018)や『トリガール!』(2017)、『君の膵臓をたべたい』(2017)と、いずれの作品でも脇にまわる形でありながら、作品やシーンのムードをつくる重要なポジションを彼が背負っていた。そして『ポンチョに夜明けの風はらませて』(2017)では物語の推進力と求心力を、主役のひとりとして担うことができることを証明した。彼の愛嬌あふれるたたずまいと、的確にツボをついてくるノリのいい芝居は、いまや若者を中心に据えた作品には欠かせない存在となっているだろう。本作で演じる“ブッチャー”こと西園寺龍之介は、まさに彼に適した役どころだといえる。

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