中村倫也と矢本悠馬、『半分、青い。』が飛躍の契機に 実力派俳優の名を広める朝ドラの役割

朝ドラ、実力派俳優を引き上げる役割も

 作品ごとに硬軟自在の芝居で魅せる中村の存在は、すでに多くの方が認知していることと思うが、本作で爆発的な人気を博しつつある。その理由の最も大きな点は、やはりヒロインの恋の相手を演じるからだ。彼が演じるのは、いまで言うところの“ゆるふわ系イケメン”の朝井正人。佐藤健が、鈴愛の幼なじみ・萩尾律という10代のキャラクターを演じることが大きな話題であったが、佐藤よりさらに年上の中村もまた、実年齢が18歳の永野と同い年の人物として隣に並んでいてまったく違和感がない。

 おっとりしたマイペースキャラが魅力の正人に癒やされている方も多いのではないかと思うが、同じく放送中の『崖っぷちホテル!』(日本テレビ系)での浜辺美波との掛け合いの妙には毎週ニヤニヤさせられ、『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』(Hulu×HBOアジア)での刑事役の手堅く作品を支える姿には「上手い!」と感嘆の声が漏れるのを禁じ得ず、映画『孤狼の血』でのマッドなキレっぷりには中村倫也という人間が信じられなくなりそう。 “カメレオン俳優”との呼び声高い中村だが、現在出演中のこの4つの作品を見比べてみれば、誰もが納得しないわけにはいかないだろう。

 「岐阜編」から「東京編」へと物語が移るに合わせて、ヒロインを支えるポジションをバトンタッチした矢本と中村。鈴愛を演じる永野は、メインキャストの中でも最年少である。彼女自身が放つ魅力の大きさもさることながら、脇を固める矢本や中村らが彼女の魅力を引き立てる存在として一役買っているのは間違いない。かねてから知る人ぞ知る若き実力者であった彼らが、この朝ドラという国民的ドラマをとおして広く認知されることは、さらなる飛躍の契機となるだろう。向井理が『ゲゲゲの女房』(2010)に、綾野剛が『カーネーション』(2012)に、それぞれ出演して以降、一気にその存在感を増したことを考えてみれば分かりやすい。今や見ない日はないように思える2人だろう。知っている人にとって彼らが素晴らしい俳優であるのは当然のことだが、やはり、より多くの人の目に触れることは重要なのだ。

■折田侑駿
映画ライター。1990年生まれ。オムニバス長編映画『スクラップスクラッパー』などに役者として出演。最も好きな監督は、増村保造。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『半分、青い。』
平成30年4月2日(月)~9月29日(土)<全156回(予定)>
作:北川悦吏子
出演:永野芽郁、松雪泰子、滝藤賢一/佐藤健、原田知世、谷原章介/余貴美子、風吹ジュン、中村雅俊/豊川悦司、井川遥、清野菜名、志尊淳、中村倫也、古畑星夏
制作統括:勝田夏子
プロデューサー:松園武大
演出:田中健二、土井祥平、橋爪紳一朗ほか
写真提供=NHK
公式サイト:https://www.nhk.or.jp/hanbunaoi/

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