本当の愛を演じきった山崎賢人に拍手! 『トドメの接吻』オリジナル脚本の秀逸さ
山崎賢人主演の日曜ドラマ『トドメの接吻』(日本テレビ)の最終回が3月11日に放送された。物語は、愛を信じないホストの堂島旺太郎(山崎賢人)が、成り上がるために100億の個人資産を持つといわれるホテル王・並樹グループ社長の娘・美尊(新木優子)に近づくところから始まった。
だが、そんな旺太郎の前に現れたのは怪しげな宰子(門脇麦)で、彼女の死の接吻によって死を迎え、7日前にタイムリープ。旺太郎は宰子とキスすることで、死のリープを繰り返すことになる。後輩ホストの和馬(志尊淳)に命を狙われたり、美尊を落とそうとすることで、美尊の兄の尊氏(新田真剣佑)に追いつめられたりと、危険な目に遭うたびに宰子のキスでピンチをチャンスに変えてきた。
ホラーとしか思えない不気味な登場の仕方で視聴者の恐怖を煽る存在だった宰子が、旺太郎と秘密を共有し、親密になっていくことで可愛らしい表情に変化。彼女の唯一の肉親だった祖母が亡くなるときにそばにいたのが旺太郎で、金と権力にしか興味がないクズ男が孤独な彼女の心を開いたシーンが印象的だった。
旺太郎と宰子、美尊と尊氏は12年前に海難事故を起こしたクルーズ船の乗っていたという共通点があり、事故の真相もタイムリープによって徐々に明らかになっていった。
旺太郎が死のタイムリープを繰り返すたび、完璧な御曹司・尊氏の人生が暗転。“闇落ち尊氏”という言葉が飛び交うほどブラックな面が露出して、美尊の心は尊氏から離れて旺太郎のもとへ。旺太郎と美尊が結婚式を迎え、そこに尊氏が刃物を持って現れて旺太郎に襲いかかり、かばった宰子が刺されてしまったのだった。宰子の死の接吻の秘密を知り、宰子とキスをしてもタイムリープしなかった謎のストリートミュージシャンの春海(菅田将暉)は一体、何者なのか。尊氏に刺されて死んだ宰子はもう生き返ることができないのか。美尊の心を射止めた旺太郎は、目的を果たして幸せになれるのか。
謎を重ねて突入した最終回は、期待以上のものを見せつけられた。まさか、最後の最後までこんなにもこのドラマに引き込まれるとは……。金と権力のためなら手段を選ばず、「キスなんて所詮、ただの道具だ」などと言っていたクズ男、旺太郎に本物の愛を見せつけられるとは……。始めこそ、“キスシーン”の強烈なインパクトが先行していた本ドラマだったが、周到に練られたオリジナル脚本に回を重ねるごとに魅了されていった視聴者は多かったことだろう。