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堺雅人×篠原涼子が語る、吉永小百合から学んだ役者の覚悟「分かったふりをせず、常に体当たりで」

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吉永小百合から学んだ役者としての責任

ーー滝田監督は現場では?

堺:僕は2003年公開作『壬生義士伝』でご一緒させていただいたのですが、滝田さんは本当に映画の現場を楽しんでいらっしゃるんです。あれだけの作品を手がけてきた監督なのに、慢心している様子はいっさいなく、子供のように現場を楽しんでおられて。知った気になって格好付けている自分が怒られているような感じがありました。

篠原:私の滝田監督作品のイメージは“力強さ”だったんです。でも、一緒にお仕事をさせていただくと、柔らかさと優しさをすごく持ち合わせていらっしゃいました。本作では、戦争の痛みを描いていますが、それを劇中劇に組み込んだり、今までにない新しい試みに挑戦されている。完成した作品を観たときは、その斬新さにびっくりしました。

ーー劇中劇はケラリーノ・サンドロヴィッチさんが演出を手がけるなど、まさに実験的な試みが行われています。舞台劇と通常のドラマが混ざり合う終盤のシーンには思わず涙が出てしまいました。

篠原:そう言っていただけるとうれしいです。私は堺さんと吉永さんが海に入っていく本作のクライマックスとも言える場面で涙が出ました。修二郎のお母さんを思う気持ちが溢れ出ていて、グッとくるものがありました。

堺:台本には、あの海の中で泣くと書いてあったんです。でも、涙が出なかった。そして、その後に病院で山岡さん(岸部一徳)に声をかけられるところで、なぜか涙が溢れてしまって。先にそのシーンを撮ってしまっていたので、どうしようかと思いました。

篠原:でも、とてもいいシーンだったと思います。私は堺さんが吉永さんとふたりで演じているシーンのほとんどでグッときていました。てつさんが、鏡の中の自分に向かって「久しぶり」と語りかけるシーンは、もう切なくて切なくて。

ーー吉永小百合さんは本作が120本目の出演作となるまさに“生きる伝説”です。親子役として共演されていかがでしたか。

堺:吉永さんはいるだけで芝居が成立します。1回、怒られるのを覚悟で2人のシーンでも喋らなかったんですが、吉永さんはしゃべらなくても“間”が持つんです。いつまでも見ていたい、本当にすごい俳優さんです。完成披露試写会の記者会見で、吉永さんは「私は素人ですから」とおっしゃっていました。吉永さんほどの大ベテランの方が、“素人”と自分を評する。それはすごいプロ意識の裏返しだと思います。分かったふりをせずに、常に体当たりで一つひとつの作品にぶつかる。その言葉に覚悟と役者として仕事をすることの重みを強く感じました。

篠原:私にとって吉永小百合さんは絶対に会えない人だと思っていたんです。共演なんて絶対にできないと。だから、一緒に演技をしたことはもちろん、義理の母と娘という形で共演できたなんて、今思い返しても信じられないぐらい幸せな時間でした。こういう仕事をしていると、謙虚な気持ちを持っていても、無意識のうちにそれが崩れてしまうこともあるじゃないですか。

堺:篠原さんは他の現場ではピュー(鼻が伸びていくジェスチャー)ってなってます?(笑)。

篠原:そうそう、だから(伸びた鼻を)チョキチョキしてくださいって感じで(笑)。

堺:(笑)。

篠原:そんな私とは全く違って、吉永さんは本当に謙虚なんです。仕事への向き合い方など、とても勉強になりました。吉永さん、堺さん、そしてスタッフ・キャストの方々と本作を作ることができたことを改めてうれしく思います。

(取材・文・写真:石井達也)

■公開情報
『北の桜守』
全国公開中
出演:吉永小百合、堺雅人、篠原涼子、岸部一徳、高島礼子、永島敏行、笑福亭鶴瓶、中村雅俊、阿部寛、佐藤浩市
監督:滝田洋二郎
脚本:那須真知子
舞台演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
音楽:小椋佳、星勝
撮影監督:浜田毅
配給:東映
(c)2018「北の桜守」製作委員会
公式サイト:http://www.kitanosakuramori.jp/

      

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