『リメンバー・ミー』共同監督が語る、作品における音楽の役割 「キャラクターの心情が表現されている」

『リメンバー・ミー』共同監督インタビュー

「常に音楽を使うチャンスを考えながら脚本を書いた」

ーー監督は劇中歌の制作にも携わっているそうですね。

モリーナ:曲を書くときは歌っているキャラクターの心情を表そうと考えている。この作品ではほとんどの場合、僕が作った歌はミゲルが歌っていて、ミゲルがそのときにどんな状態だったかを表すようにしているんだ。緊張していたり勇気を感じていたりというミゲルの感情の変化を反映させるような歌詞を書こうと考えて作ったよ。

ーーピクサーの作品はどれも音楽が重要な役割を果たしていると感じるのですが、『リメンバー・ミー』ではその中でも特に音楽に強いこだわりを持っている印象があります。

モリーナ:音楽は作品にとってさまざまな役割を果たすものだけど、『リメンバー・ミー』では特に3つの役割があるんだ。ひとつは、ミゲルが住んでいる世界を反映するソースミュージックとしての役割。メキシコの伝統的な音楽を使って、現実世界を反映させるという意味も込めている。もうひとつは映画音楽として、キャラクターの感情的な旅路をより深く理解するため。これにはキャラクターが感じている感情をより拡張させる役割がある。今回はその2つに加えて、音楽そのものの力をそれぞれのキャラクターに感じさせるという描き方で、劇中で重要な役割を担っているんだ。

ーー音楽はどのようにして作品に加えられていくんでしょうか?

モリーナ:ミゲルが抱える問題がほとんど音楽に関わっていることで音楽を演奏する、あるいは音楽がその問題を解決するようにと、脚本を書いているときに考えていたよ。ミゲルの問題がどこにあるのかを、常に音楽を使うチャンスを考えながら、脚本を書いていったんだ。それと、ミゲルの声を担当したアンソニー・ゴンザレスが歌える人だと分かってからは、歌をもっと入れようと考えた。音楽がテーマでもある作品だから、ストーリー上の問題を解決すると同時に、主題である音楽になるべくチャンスを与えるようにしようと考えながら、脚本に音楽を盛り込んでいったんだ。

「忘れたくない人の写真を飾りました」

ーーエンドロールの後ろでたくさんの人々の顔写真がスクリーン全面に映し出されたのもと非常に印象的でした。

モリーナ:エンドロールの最後のシーンには、デジタル版オフレンダーを作ったんだ。この作品に関わったアーティストたち自身が、ずっと考えていたい人、思い出したい人、忘れたくない人の写真を飾っている。本当に自分がこの映画を捧げたいと思っている、この人をしのびたいと思っている人の写真を掲げていて、祭壇の役目を果たしているんだ。

ーー最後に、日本の観客に『リメンバー・ミー』を通して伝えたいメッセージをお願いします。

モリーナ:この作品が、自分が情熱を抱いているものにより一層真剣に取り組んでもらえるきっかけになれたらいいなと思う。そして、家族のなかであなたをサポートしてくれる人をぜひ探してほしいね。ミゲルにとっては非常に長い旅路になってしまったけれど、家族からのサポートを得るための方法がいずれ見つかることを願っている。純粋にストーリーを楽しんでもらって、皆さんがどう感じたのかの感想も聞いてみたいね。

(取材・文・写真=大和田茉椰)

 ■公開情報
『リメンバー・ミー』
同時上映『アナと雪の女王/家族の思い出』
3月16日(金)公開
監督:リー・アンクリッチ
共同監督:エイドリアン・モリーナ
製作:ダーラ・K・アンダーソン
製作総指揮:ジョン・ラセター
原題:Coco
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(c)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
公式サイト:http://www.disney.jp/remember-me

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