『アンナチュラル』へのアンサーも? 『99.9-刑事専門弁護士』第4話で“民事事件”を扱ったワケ
被疑者死亡のまま不起訴になった刑事事件。工場経営者の男性が、取引先の製作所の専務を殺害したのち自殺。被疑者の妻は被害者の兄である製作所の社長から法外な金額の損害賠償請求をされてしまうのである。しかし、その裏には被疑者の男性が取得した特許が関わっているということが明らかになる。
2月4日に放送されたTBS系日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』の第4話。タイトルの通り“刑事事件”を扱うこのドラマが、今回扱う題材は刑事事件ではなく“民事事件”。ところが、刑事裁判の結果が伴って初めて発生しうる民事事件であると考えた斑目法律事務所の刑事事件チームは、裁判が行われずに片付けられた“刑事事件”を解き明かすことで、今回の案件の勝利を目論むわけだ。
そう書いてみると、なかなか複雑な雰囲気が漂ってくる今回のエピソードではあるが、民事的な部分は深掘りされず、いつも通りの深山大翔(松本潤)の“お出かけ捜査”で、すでに不起訴になった事件の0.1%を追及するという運びだ。では、何故今回は“民事”を描くことになったのだろうか。
すごく単純に考えると、今回登場した原告側弁護士、つまり裁判で争うことになる相手側の弁護士・森本貴(近藤芳正)を登場させるという狙いがあったのではないだろうかと推測できる。刑事事件は弁護士と検察の争い。しかしながら民事事件は弁護士と弁護士の争いが繰り広げられる。
第2話で深山の父親の事件がひと段落したことで、前シーズンから続いていた検察との戦いにひとつの終止符が打たれた。先週の第3話ではこれまで通り刑事事件でありながら、フォーカスが当てられたのは裁判官を辞めて弁護士になった尾崎舞子(木村文乃)を軸にした弁護士と裁判官の関係性だった。
この敵対する弁護士を登場させるということが今後のドラマの展開にどのような効果を生み出していくのか。それはいくつかのパターンが予想できる。ひとつは森本が所属する事務所が、斑目と対立している大きな事務所であること。よって、今後斑目法律事務所が裁判官と対決していく過程で、なんらかの脅威になるということではないだろうか。
もしくはもっとシンプルに、前シーズンでは家庭での立場が弱く、事務所では強気に構えていた佐田篤弘(香川照之)のキャラクター性の強調とも捉えられる。今シーズンは比較的家庭でのシーンが省かれている一方で、やたらと事務所での彼の空回りが目立っている。ライバル弁護士の登場で、無駄にやる気を出す彼の姿を描くことによってシュールさを強調させる狙いも見受けられる。