『アンナチュラル』が『99.9』に下克上!? 石原さとみが挑んだ法廷バトルを読み解く

『アンナチュラル』が『99.9』に下克上?

 『アンナチュラル』(TBS系)第3話は、前回までの法医学ミステリーから一転、法廷ドラマのような展開となった。主人公のミコト(石原さとみ)が法廷バトルを挑んだ相手は、有罪率99.9%の烏田検事(吹越満)。なにやら、同じTBSで放送中の日曜劇場『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』を連想させる設定だ。

 話の筋はこうだ。半年前に発生した“主婦ブロガー殺人事件”の裁判に、代理証人として出廷したミコトは、法医解剖医として“証拠の矛盾”を指摘する。被告の要一(温水洋一)は、精神的DVに耐えかねて、包丁で妻を殺害したと証言していたのだが、その包丁が本当の凶器ではないことを、ミコトは見抜いたのだ。それを聞いた要一も、一転して無実を主張し、裁判は大混乱に陥った。「白いものをも黒くする」と謳われる烏田検事はミコトに対して激怒し、2人は丁々発止の法廷バトルを繰り広げることになるーー。

 「主人公が法廷バトルで0.1%の真実に挑む」のは、言うまでもなく『99.9』の設定と同じだ。両ドラマの第2話までの平均視聴率は、『アンナチュラル』が12.9%、『99.9』が16.6%(ともにビデオリサーチ調べ、関東地区)で、『99.9』に軍配が上がっている。ミコトが烏田検事に叩きつけた挑戦状を、『アンナチュラル』による『99.9』というドラマへの下克上と見ると、いっそうエキサイティングに感じる。実際、今回放送された第3話は、『アンナチュラル』ならではのアプローチをうまく法廷ドラマに落とし込んでいて、『99.9』と比較しても楽しめる仕上がりになっていた。TBSらしい遊び心といえよう。

 裁判で争われるのは一点、“凶器が一致しているか否か”。3DCGで再現された被害者の傷跡は、右利きの包丁によるものだと主張するミコトに対し、烏田検事はこれまで1万件を超える解剖を経験してきた老練の法医解剖医を連れ出し、「左利き包丁でも有りうる傷跡」と証言させたのみならず、最近の若い女性解剖医は未熟なくせに自己主張だけは強く、すぐ感情的になって都合が悪くなると責任転嫁するとまで言わせしめ、裁判員たちの心象を操作しようとする。これに憤怒したミコトは、さらなる証拠を集めるために奔走し、ある奇策を思いつく。

 「クソ」が口癖で他人に対する配慮がない同僚の中堂系(井浦新)に、代理証人を依頼するのだ。中堂は人格破綻者ではあるが、論理的かつ高圧的なので、烏田の印象操作を叩き潰すには打ってつけの人材である。ちょうど、かつての同僚である坂本誠(飯尾和樹)からパワハラで訴えられていた中堂は、代わりにミコトが坂本のケアをすることで納得し、不遜な態度で法廷に立つ。そして、「重要なのは解剖の経験数ではなく証拠」であることを、痛快なまでにふてぶてしく突きつけ、烏田をやり込めるのだ。

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