『君の名は。』大ヒットの理由は予告編にあった? 新海誠×川村元気の運命的なコラボを振り返る

社会現象となった『君の名は。』を振り返る

 そしていざ作品を観てみれば、これまでの新海作品にあったような、モノローグの応酬や主人公の描き方など、一部の観客が拒否反応を示していた(というのも、筆者がまさにそうだったからだが)部分が如実に残りながらも、それを充分に補填するだけの技が随所に発揮され、映画としての強度が増している。そのおかげで、公開後の口コミと興行推移で気にならずにいられなくなかったアンチさえも取り込むとなれば、ここでも二極的な部分を両方集約することができた、ということである。

 そういった点では、敏腕プロデューサー川村元気の見事な策略と、あらゆる制約が生まれる大作を手がける中でも、自分の描きたい部分を貫いて、それをブラッシュアップさせた新海誠のプライド。このふたつがぶつかり合うことで生まれた化学反応という、本作のラストシーンよりも運命的なものが存在していたのかもしれない。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■放送情報
『君の名は。』
1月3日(水)21時〜テレビ朝日系にて放送
声の出演:神木隆之介、上白石萌音、成田凌、悠木碧、島崎信長、石川界人、谷花音、長澤まさみ、市原悦子
監督・脚本:新海誠
作画監督:安藤雅司
キャラクターデザイン:田中将賀
音楽:RADWIMPS
(c)2016「君の名は。」製作委員会
公式サイト:http://www.kiminona.com/

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