Kis-My-Ft2藤ヶ谷太輔、変幻自在の演技力 ドラマ『櫻子さん』の活躍を読む
これまで『マルモのおきて』(フジテレビ系)、『花ざかりの君たちへ〜イケメン☆パラダイス2011』(フジテレビ系)、『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(フジテレビ系)など、数々の人気ドラマを生み出してきたフジテレビ系の「日9」ドラマ枠。2017年4月クールでは、『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』(フジテレビ系)が放送されており、盛り上がりを見せている。そして今、佳境を迎えている『櫻子さん』は、より一層面白くなってきた。
同ドラマは、もともとWeb小説。その後書籍化され、2015年にはアニメ化されて人気を博した。現在は『ヤングエース』にて漫画版も掲載中で、満を持しての実写ドラマ化だ。しかし、ドラマではかなり設定が変更されている。舞台やキャラクターの設定など大きく変わっている部分も少なくないが、これはこれで新しい面白さだ。
たとえば、原作の九条櫻子(観月ありさ)は強さの中に可憐さが見えているが、ドラマでは強く中性的なイメージである。Kis-My-Ft2藤ヶ谷太輔が演じる館脇正太郎も例外ではない。原作では正太郎は高校生だ。真面目で平凡、まっすぐな性格で、櫻子に対して恋心にも似た憧れを持っているように見える。一方ドラマでは博物館の技術補佐員で、ドMというエッジの効いた設定も加わっている。「正義感が強く、優しくて純粋な常識人。嘘をつけず、思っていることがつい顔に出てしまう」(引用:公式サイト)というキャラクターであるため、存在感が薄くなるかと思っていたが、回を重ねるごとに存在感が増していく印象だ。
たとえば、6月11日に放送された8話では弟を亡くした櫻子に対して「力になりたい」と申し出る男らしさを見せたり、櫻子に突き放されて落ち込んだりしていた。かと思えば、再び櫻子に対して「櫻子さんを支えたい」と食い下がる。感情がクルクル変わる実に人間らしい様子を見せてくれた。お決まりとなりつつある、心の中のツッコミも面白い。笑えて泣ける変化の多いこのドラマを、主軸となって動かしているキャラクターとも言えるだろう。
藤ヶ谷は、これまで非常に多種多様な役を演じてきている。『MARS〜だた、君をあいしてる』(日本テレビ系)では、多くの人を魅了しつつも危険な一面を持っているバイクレーサーの樫野零役。『信長協奏曲』(フジテレビ系)では、柴田勝家に仕官する弟キャラ全開の前田犬千代役。『仮面ティーチャー』(日本テレビ系)では、底抜けにポジティブで熱い教師・荒木剛太役。振り返ってみると、演じてきた役柄は実に幅広い。だからこそ、変化の多いドラマ『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』でも、主人公という重要なポジションで、しっかりと物語を支えられているのではないだろうか。
そして、正太郎は藤ヶ谷の演技の幅をさらに広げる役にもなっている。『キスマイBUSAIKU!?』(フジテレビ系)や『MARS~だた、君をあいしてる』で見られる“胸キュン演技”の影が見え隠れしつつも、これまでには見られなかったオドオド感やコミカルさも顕著に見て取れるからだ。