『BLAME!』のディストピアに恐怖を感じる理由 難解な世界をどう描いた?

『BLAME!』が描く根源的恐怖

 本作では最終的に、人々はセーフガードに感知されない安全な層へと移住することに成功するのだが、しかし、根本的な問題は解決されないまま終わってしまう。2時間弱の作品で物語が完結するのではなく、『BLAME!』という世界の中で、霧亥の旅はまだ続くことを示唆しているだが、その余白の中に、我々は想像力をかき立てられるのである。考えてみれば、我々の住む現実の世界もまた、人の力の及ばない多くの謎と恐怖に満ちているのであり、それはまだまだ続くのだ。

(文=馬場翔大)

■公開情報
『BLAME!』
全国公開中
原作:弐瓶勉『BLAME!』(講談社「アフタヌーン」所載)
総監修:弐瓶勉
監督:瀬下寛之
副監督/CGスーパーバイザー:吉平”Tady”直弘
脚本:村井さだゆき
プロダクションデザイナー:田中直哉
キャラクターデザイナー:森山佑樹
ディレクター・オブ・フォトグラフィー:片塰満則
美術監督:滝口比呂志
色彩設計:野地弘納
音響監督:岩浪美和
音楽:菅野祐悟
主題歌:angela「Calling you」
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
配給:クロックワークス
製作:東亜重工動画制作局
(c)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局
公式サイト:http://www.blame.jp

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