A.B.C-Z塚田僚一、舞台『サクラパパオー』で開花! 初座長で全てを自分色に染める

 「金髪筋肉塚ちゃんです!」のフレーズでおなじみの、A.B.C-Z 塚田僚一。現在、舞台『サクラパパオー』の公演真っ只中だ。塚田にとって初座長となる今回の舞台、評判は上々である。

 『サクラパパオー』は、塚田演じる田原俊夫を中心に夜の競馬場に様々な人が集まってくる模様を描くコメディ作品だ。俊夫の婚約者・岡部今日子、正体不明の女性・ヘレン、外務省勤務のエリート・的場博美、中年男性・井崎修、未亡人・菅原幸子、優柔不断なサラリーマン・横山一郎、得体のしれない予想屋・柴田達。各々様々な事情を抱えているが、一夜限りの出会いを果たしながら、ドタバタ劇を繰り広げる…という内容である。そんな『サクラパパオー』は劇団『ラッパ屋』での上演した後、2001年にもパルコ・プロデュースとして上演された作品で、今回が3回目の公演だ。好評を博した過去2回に負けず劣らず、今回の舞台も評判が良い。ネット上には「塚ちゃんらしい舞台」、「今までで一番好きかも」というファンの声も目立っている。確かに、『サクラパパオー』は“塚田の良さ”を存分に味わえる舞台になっているといえるだろう。

 そう考えられる理由のひとつは、「舞台の至る所に塚田らしさが見られる」という点だ。塚田が演じる田原という役は、嘘がつけない素直な青年。強がってみたり、弱音を吐いてみたり、相手の顔色を伺ってみたり…。「ちょっとおバカな部分もあるが憎めない」という魅力的な人物だ。この人物像、よく考えると塚田本人に通じるところがある。実際本人も「自分も嘘をつけないタイプなので、そういうところは似ているのかなと思います」(引用:『サクラパパオー』公式サイト)と語っているほど。だからこそ、無理な役づくりをしない、塚田の性格を活かした演技ができていた。また、役の味付けの仕方にも塚田らしさが見える。田原として舞台に登場するや否やハンドスプリングを披露したり、舞台中央にある柵を軽々飛び越えたり、アクロバットをさり気なく盛り込む。さらに台詞の言い方も然りだ。一つひとつ確認するように言葉を発するセリフ回しは、『ABC座』や『JOHNNYS' World』でも見たことがある“塚田節”だ。こういった「塚田らしさ」がたっぷり盛り込まれているのだ。

 そして、演者側だけでなく「温かい観客が多い」という点も塚田の良さを感じる理由のひとつではないだろうか。コメディのため笑えるシーンも多いのだが、観客は素直に笑い声を発する。それにより、舞台のストーリーにもメリハリがついていたように感じる。さらに、市川しんぺー演じる横山が予想屋を探すシーンで、観客に向かって「予想屋見なかった?」と問いかける場面があった。普通、演者に絡まれた観客は反応できないことが少なくないのだが、今回は素直に「あっち」と予想屋を指差して反応していた。舞台が終わった後も、その温かさは続く。スタンディングオベーションで拍手をすることはもちろん、座長・塚田僚一のコメントを立ったまま聞き、最後の最後まで拍手を送っていたのだ。塚田がファンに愛されている何よりの証拠であり、他の舞台ではこういった様子を目にする機会は少ない。

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