『視覚探偵 日暮旅人』子役・住田萌乃の演技が凄い! ドラマ通じて成長する姿に感嘆
日曜22時30分から日本テレビ系で放送されている『視覚探偵 日暮旅人』。これまで『金田一少年の事件簿』を皮切りに、『ケイゾク』『TRICK』『SPEC』など、ユーモアとダークさが織り交ざったミステリードラマを数多く作り出してきた堤幸彦のセンスが冴え渡った傑作だ。
主人公の日暮旅人は、視覚以外の感覚をすべて失っているが、残された視覚で本来ならば目に見えない感情を見ることができる。ある意味では、視覚を失ったことで他の感覚が覚醒したマーベルコミックの『デアデビル』の逆バージョンといったところか。人や物に残る感情を見つけたときに、日暮旅人が見ている光景を映し出す主観ショットは、実に想像力豊かなVFXで作り出されている。
また、主演の松坂桃李に加え、ヒロイン格の多部未華子、そして松坂の相棒を演じる濱田岳と、88年世代の実力派俳優が集結しているのも見どころのひとつ。現在毎週水曜日に放送されている『東京タラレバ娘』も(榮倉奈々がひとつ上の学年に当たるが)、ちょうど同じ世代でメインロールが構成されているのであるが、前クールに旋風を巻き起こした『逃げるは恥だが役に立つ』に続いて、今もっとも波に乗る88年代世代を後押ししている。(参考:新垣結衣、戸田恵梨香、堀北真希、吉高由里子……黄金の“88年世代”女優、次なる主役は?)
さて、この『視覚探偵 日暮旅人』は堤幸彦ドラマらしく、キャストの個性が非常に際立っている。中でも最大の注目を寄せるべきは、日暮旅人が父親代わりとして、共に暮らしている百代灯衣を演じる住田萌乃だ。現在8歳の彼女は、芦田愛菜や鈴木梨央ら超有力子役を次から次へと輩出する、ジョビィキッズプロダクションで人気急上昇中なのだ。
まだ5歳だった2013年にデビューした彼女は、日本テレビ系ドラマ『Woman』で満島ひかりの幼少期を、TBS系ドラマ『家族狩り』では松雪泰子の幼少期を演じるという、子役として典型的なキャリアのスタートを切る。そして2014年末にはNHK朝の連続テレビ小説『マッサン』で、主人公夫婦の娘・エマの幼少期を演じ注目を集めたのだ。(このエマが大人になった姿を演じているのが、今回のドラマで共演している木南晴夏というのも面白い偶然だ)
彼女の個性は、何と言ってもその子供らしい愛嬌と、年齢離れした表情の豊かさにある。一昨年の秋にスペシャルドラマ版『視覚探偵 日暮旅人』では終盤、旅人と血が繋がっていないことを再認識させられる出来事にショックを受ける。それまでの明るく無邪気な表情から一瞬で転じるのだ。そして、クライマックスに立てこもり犯に捕らえられた彼女は、慌てふためく大人たちの中で一人だけ冷静に振る舞い続ける。そして何かを悟ったように、旅人に語りかけるのだが、当時7歳の少女とは思えないほどの熱演には感動せずにいられない。
両親がおらず、父親代わりの存在のもとで一緒に暮らし、その仕事を手伝うというキャラクター設定は、奇しくも今回共演している濱田岳のデビュー作を思い出す。TBS系列で98年に放送されたドラマ『ひとりぼっちの君に』で、濱田が演じた日比野雄大という少年は、素直でいられずに、とにかく反抗しては周りの大人を困らせるのだが、ふと見せる子供らしい純粋さでドラマに感動を生み出していた。同じような境遇にあっても、日比野雄大と百代灯衣は正反対な子供像ということだ。