松本潤『99.9』続編は制作されるのか? 有終の美となった最終話を振り返る

 いずれにしても、共通していることは“無実”であるということであり、それをできるだけ早い段階で証明されなければ、無実のまま裁かれるという結果は免れないことである。それを実世界で防ぐために、このドラマが選んだ問題提起の方法は、主人公を冤罪の被害者にすること、冤罪を作り出した検察を悪として描くことと、それを暴き出すために検察と対決できる弁護士を中心に描くこと。そしてすべてのメッセージを、クライマックスの法廷シーンでの深山の最終弁論に集約したのだ。

 「無罪が確定しても、生活はもとどおりになるわけではありません、何もなかった平穏な日々、幸せを、過ぎ去った時間を、取り戻すことはできません。誤った逮捕、起訴によって、その人の人生は、大きく狂わされてしまうんです。今回の事件は、刑事裁判で最も大きな罪とされる、冤罪事件です。冤罪事件は多くの人を不幸にします」

 ただ、深山の父親の事件が解決する糸口に辿りつかないまま終わるというのは、少々腑に落ちない部分がある。もし今回の高視聴率を受けて続編が制作されることになれば、再審の場で大友検事正(奥田瑛二)との直接対決を期待したいところである。しかし、あくまでも今回は、“冤罪”によって不幸になった主人公が、完全に報われては問題提起として成立しなかったのだろう。それが何とももどかしいところだ。

■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。Twitter

■ドラマ情報
『99.9−刑事専門弁護士−』
出演:松本潤、香川照之、榮倉奈々ほか
脚本:宇田学
トリック監修:蒔田光治
プロデュース:瀬戸口克陽、佐野亜裕美
演出:木村ひさし、金子文紀、岡本伸吾
製作著作:TBS
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/999tbs/

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