「インディーズは常に死と隣り合わせ(笑)」SPOTTED PRODUCTIONS直井卓俊氏に訊く

スポッテッド・直井卓俊氏に直撃取材

「結果を出す監督は、大人なプロ意識を持っている」

ーーこれからは彼らの時代が来るのでしょうね。しかし、誰でも映画を撮りやすくなったとはいえ、誰もが世に認められる監督になるとは限りません。直井さんは多くの映画監督とお付き合いがありますが、世に出るひとと、そうではないひとにはどういった違いがあると考えますか?

直井:なんでしょうね……でも、僕の周りのひとを見ている限り、プロ意識のようなものは、監督になる前から備えている気がしますね。まあ、狭い世界だし、周囲と信頼関係を築いていける人じゃないと、どんなに才能があっても、それをダメにしてしまうのかな、とは思います。それすらも超越できる才能がいたら、まあ何も言えないですけど(笑)。目の前のことにこだわりすぎていてもダメで、どこかで人の意見を取り入れることも必要だし、そうじゃないと本当に進まなくなっちゃうんですよね。

ーー大切なのは才能だけじゃないということですね。最後に、直井さんが考える映画の魅力を教えてください。

直井:僕は映画の良さって、なんでも寛容に取り込めてしまうところだとも思っていて、いろんな要素が入っていても、映画は映画だって言い切れる懐の深さが魅力的ですよね。演劇でも音楽でもアイドルでも、なんでも取り込んでしまう総合芸術感があるから、僕は映画が好きなんだと思います。あと、僕自身、ここ数年で大きく変わってきてるんですよ。松江監督とか冨永監督とか井口監督のような、強烈な才能を持った作家に寄り添って力になりたい、というところから、作家性にこだわり過ぎず、どの企画にも可能性はあるっていう考え方になってきたといいますか。最近だとMOOSIC LABで結果を出した加藤綾佳監督、酒井麻衣監督は、MOOSIC LAB以前の作品に惚れ込んで組んだわけじゃなくて、企画を一緒に進める中で何かを掴んでくれた気がするし、いま京都造形芸術大学で授業やっていて、その生徒たちと一緒に企画実践みたいな授業をやる事で、何らかの成果や結果を出していく面白さも知ったんです。だからこそ、MOOSIC LABやその周辺の企画は純粋な映画ファンから邪道だと言われていても、その極端な実験であり実践の場として、続けていけたらなと思ってます。あ、もちろん結果も伴うように、努力しつつですが(笑)。

■高根順次
スペースシャワーTV所属の映画プロデューサー。『フラッシュバックメモリーズ3D』、『劇場版BiSキャノンボール』、『私たちのハァハァ』を手掛ける。

■SPOTTED PRODUCTIONS、最新配給作品
『友だちのパパが好き』
12月19日より東京・ユーロスペースほか全国ロードショー
監督:山内ケンジ
出演:吹越満、岸井ゆきの、安藤輪子、石橋けい、平岩紙
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©2015 GEEK PICTURES
公式サイト:tomodachinopapa.com

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