『ピエロがお前を嘲笑う』が仕掛ける“マインドファック”とは? 新鋭監督が手がけた意欲作を観た

『ピエロがお前を嘲笑う』が仕掛ける“マインドファック”とは? 新鋭監督が手がけた意欲作を観た

 そんな物語の終盤、二転三転する物語。“マインドファック・ムービー”と呼ばれる所以が、そこにあるのだが……主人公ベンジャミンの部屋に、これ見よがしに貼られた『ファイト・クラブ』のポスター。実はそれこそが、最大のミスリードを呼び込むことになるのだった。冒頭から散々『ファイト・クラブ』と書いてきたけれど、この映画は『ファイト・クラブ』の模倣ではない。そのエッセンスを汲み取りながら、まったく別の結末に仕立てあげてしまっているのだ。ある種のディストピア映画でありながら、来たるべき時代を予言する“カルト・ムービー”として、いまだに強いインパクトを放ち続けているデヴィッド・フィンチャー監督の『ファイト・クラブ』(1999年)。確実にその影響下にありながら、これほど突き抜けた……最終的には、ある種の“痛快さ”を感じるような作品を生み出した1978年生まれの新鋭、バラン・ボー・オダー監督。その名前ともども、是非とも記憶しておくべき一本と言えるだろう。

 そして、最後に朗報。現在、新宿武蔵野館(東京)、センチュリーシネマ(名古屋)の2館で上映中の『ピエロがお前を嘲笑う』は、その大ヒット・スタートを受けて、9月19日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、横浜ブルク13での拡大公開が決定。お見逃しなく!

(文=麦倉正樹)

20150917-piero-02th_.jpg

 

■公開情報
『ピエロがお前を嘲笑う』
新宿武蔵野館ほか上映中
監督・脚本:バラン・ボー・オダー
共同脚本:ヤンチェ・フリーゼ
出演:トム・シリング、エリアス・ムバレク、ヴォータン・ヴィルケ・メーリング、アントニオ・モノー・Jr、トリーヌ・ディルホム、ハンナー・ヘルツシュプルンク
英題:WHO AM I – NO SYSTEM IS SAFE 原題:WHO AM I – KEIN SYSTEM IST SICHER 
ドイツ/2014年/106分/カラー/シネマスコープ/DCP5.1ch 提供・配給:ファントム・フィルム
(C) Wiedemann & Berg Film GmbH & Co. KG, SevenPictures Film GmbH 2014; Deutsche Columbia Pictures Filmproduktion GmbH

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画シーン分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる