【漫画】学校一のイケメンからの告白は罰ゲーム? 一途な青春を描く『デスラブレター』

【漫画】イケメンからの告白は罰ゲーム?

 恋に正解も正義もない? 幼なじみへの告白がすれ違う、甘酸っぱい青春を描いた短編『デスラブレター』がXで話題を集めている。

 作者はリアルな現代の恋愛を多角的に描き続ける漫画家で、現在『恋の奈落』を連載中の今井大輔さん(@dice_k_imai)。「恋は最も自由な分野」と語る彼に本作の制作を改めて振り返ってもらった。(小池直也)

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『デスラブレター』(今井大輔)


――9000以上のいいねが集まっています。これについて、ご自身としてはいかがですか?

今井大輔(以下、今井):正直に言えば、もっと行くと思ってました(笑)。SNSでの作品投稿をもっと定期的にしようと思っていて、本作も以前にもあげたことがあるんですよ。その時は6万いいねくらいついたので……。

 ただSNSで作品が広がるかどうかはタイミングや運も大きいと思ってますし、また新たに多くの人に見てもらえたのは嬉しいです。

――着想のきっかけについて教えてください。

今井:制作のきっかけは、イオンエンターテイメントさんからお話をいただいたことでした。実は担当者の方との打ち合わせ段階では、もっと毒のある話になる予定だったんですよ。でも実際に考えて形にしてみたらハッピーなお話になってしまいました。

――「デスラブレター」というタイトルもキャッチーで素晴らしいです。これについては?

今井:実際にお話を考えるなかで、脇役から出てきた「デスレター」というセリフがいいなと。それを話の核であるラブレターと組み合わせました。偶然の産物ですが、引っ掛かりのあるいいタイトルになったと思います。

――本作を描く際に意識したことや狙いなどはありましたか。

今井:メインのふたりのビジュアルを含めたキャラクターに気をつけて制作しました。学校中から好かれてるふたりなので、嫌な部分のなるべくないような、素直な人柄にしようと気をつけた記憶があります。

 当初は作品を通じてルッキズムを皮肉ろうかとも思いましたが、素直なメインキャラたちに引っ張られ、温かい話になりました。結局それで多くの人の支持を得られて、よかったなと。

――メインキャラふたりは現実の誰かをイメージしていたり?

今井:特定の何かや誰かをイメージしたわけではないですね。当時は「最近センターパートが流行ってるなあ」くらいの気持ちでした。

――制作で大変だったエピソードなどもあればお願いします。

今井:もともと短い読切作品を描くのは好きなので、特別な苦労はなく、さらさらと楽しく描けました。

――今井さんはリアリスティックな恋にまつわる物語を数多く制作されていますが、どうやってこのバリエーションを構想されているのでしょう。

今井:恋愛はスパイスとして物語に使ってます。恋愛漫画を描こうとは思っておらず、色々なお話のなかで恋愛感情もあるだろうと付け足してるイメージ。その結果、バリエーションが多く見えてるのかもしれないですね。

 恋愛漫画を描こうとすると逆に描けないというか、「本職の女性誌の漫画家さんには絶対勝てないだろうな」という気持ちがあるんですよ。そこで真っ向勝負しないように逃げる気持ちと、それでも恋愛を描くのは楽しいという気持ちが合わさって、ちょうどいい場所にいる気がします。

――なぜ、そこまでして「恋」を描くのでしょう?

今井:正解も正義もなく、「自分(自分たち)はコレ!」という独自の答えや主張を持ってよくて、どんなにいびつでも本人たちが満足していたら否定できない、最も自由な分野が「恋」だと思うんです。だから考えるのが、ただ楽しく、面白いです。

――現在連載中の『恋の奈落』についても少しお聞かせいただけますか。

今井:現在連載中の『恋の奈落』と前作『恋と地獄』は、僕にとって挑戦でした。今までは自分でどんな漫画を描くか考えていたのですが、さらに前の作品の『古都こと』から付き合いのある編集さんからの提案で始めました。プロのスタイリストに服を選んでもらうように、自分がどんな漫画を描くと読者に刺さるかをコーディネートしてもらった感じです。

 取り組むきっかけとして、「40歳になってからは未来への可能性やセンスみたいなものより、過去の実績で判断されるようになる」と心境の変化がありました。だから「一度ちゃんと売れるものを描いておこう」と。

――なるほど。

今井:『恋の奈落』は復讐ものなのですが、このジャンルに担当編集さんが詳しくてノウハウをたくさん学びました。でも正直、理解できないことも多く、「これ本当に面白いですか?」「大丈夫です!」みたいな会話を繰り返しています(笑)。

――最後に今後の展望をお願いします。

今井:もともと飽きっぽい性格なので、既に違うものが描きたくなっていて、担当さんとも新連載を考えているところなんです。今の連載で学んだことを次回作でも活かせたらと思っています。

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