猫の癒し効果には科学的な裏付けがあった! 『にゃんこパワー』著者が語る、猫研究の最前線

『にゃんこパワー』著者インタビュー

ペット先進国であるスウェーデンの現在の猫事情とは

――せっかくの機会なので、スウェーデンでの猫事情についても最後に教えてください。

カリーナ:スウェーデンでは飼い主のいない猫と飼い主を結びつける場所、団体がたくさんあります。もともと規制はありましたが、どんどんルールが厳しくなり、現在では飼っている猫は全て登録しなければなりません。昔はサマーキャットといって、夏休みの1~2か月だけ、子どもが猫が欲しいからと、田舎で猫を飼って、夏休みが終わって街に帰るときには遺棄するといったこともありましたが、今では禁止されています。新しい法ではブリーダー他、意図的に子猫を生ませる猫以外は避妊去勢手術をしなければいけません。飼い主もそれを守る必要があるので、望まない子猫が生まれてくることはありません。

――翻訳を担当された久山さんにもお伺いします。スウェーデンに住んでいて感じる日本との違いを教えてください。

カリーナ:スウェーデンでは人権はもちろん、動物の権利もとても大切にされています。たとえば犬は最長6時間ごとに外に連れ出して散歩(=おしっこ)させなければいけません。なので犬を飼っている人は、だいたい昼休みに一度帰宅して、散歩をしたり、会社に連れてきたりしています。ショップではおもちゃやグッズ、フードは売られていますが、犬猫の生体展示は禁止されています。

 猫を飼うためにはブリーダーや保護団体を通すことになります。うちにいる3匹もすべて保護猫です。ただスウェーデンでは基本的に野良猫はいないんです。気温を考えると冬になると外で暮らすのは難しいので。それでも春に生まれる子がいますが、そうした子を見つけると、誰かが保護して街に必ずある団体に連絡します。そこから病院に行って、避妊去勢手術をして、マイクロチップを入れて登録します。保護される猫の多くは、何らかの理由で飼い主が飼い続けられなくなったり、虐待されたり多頭飼いによって、周囲から役所に通報され、保護されたケースが多いです。ちなみに新しい飼い主が見つかるまで預かるボランティアをする家では、自分のペットを飼ってはいけません。ペットがいない家であることが預かりの登録条件です。

 日本と大きく違うのは、安楽死についてですね。自然に亡くなるまで看取りたいという飼い主もたくさんいますが、病院に連れて行って「もう治る見込みはありません。すぐ安楽死です」と言われるパターンもあります。拒否すると飼い主が訴えられます。人間にも延命治療はしませんし、尊厳ある生き方がいいという考え方です。

――ありがとうございました。

■書籍情報
『にゃんこパワー:科学が教えてくれる猫の癒しの秘密』
カリーナ・ヌンシュテッド(著)、ウルリカ・ノールベリ(著)、久山葉子(翻訳)
価格:2,310円
発売日:2024年6月27日
出版社:新潮社

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