「これは反面教師」“一番キケンなグルメマンガ”『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』凄い高カロリーを検証
もちづきさんは“反面教師”にぴったり!?
さらにいえば『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』は、明らかにドカ食いの危険性を作中で明示している。たとえばもちづきさんが夜食にありつく直前、彼女の脳裡には心筋梗塞・高血糖・糖尿病などのオーラをまとったドクロがよぎっていた。
同作で描かれるのは、誰もが共感できる絶品ご飯でも、憧れの美食でもなく、“絶対に真似してはいけない”食事のタブーだ。実際に不健康すぎるもちづきさんの食事描写に、SNS上では「中高年の読者にとってはホラー」という反応も上がっていた。
その一方、同作はあまりにもリアリティたっぷりにドカ食いの恐怖を描き出しているため、「反面教師になる」という意見もあるようだ。たしかにもちづきさんは読者が道を踏み外さないよう、身を呈して「こうなってはいけない」という食生活を見せ付けてくれている……とも言えるかもしれない。
なお、同じようにドカ食い描写を盛り込んだグルメマンガは他にもいろいろある。印象的な作品といえば、『カイジ』シリーズの飯テロスピンオフ『1日外出録ハンチョウ』が挙げられるだろう。単行本6巻に収録された第44話「暴徒」は、主人公の大槻が深夜2時にコンビニへと乗り込み、「胃がときめいた物」を片っ端から購入して爆食し、血糖値の導くままに眠りにつくというエピソードだった。
そこでメインディッシュとなっていたのは、焼きそばの「U.F.O.」に明太子ポテサラ、味付きゆで卵を投入した“カロリーモンスター”で、いまだにその衝撃が語り継がれている。
大槻の暴飲暴食は“脳内の大槻たち”にドン引きされていたが、精神(こころ)の健康のためにたまには無茶をしてもいい……というハートフルなオチとなっており、独特の読後感を残していた。
人は何のために食事をして、何のために健康に気を遣うのか。ドカ食いを描いたマンガは、そんな哲学的な問いを読者に投げかけているのかもしれない……。
なお、『ドカ食いダイスキ!もちづきさん』は元々隔月連載の予定だったそうだが、読者の反応を受けて、月イチ連載に移行することが発表されている。次なるエピソードは6月10日に公開されるそうなので、グルメマンガの最前線をぜひチェックしてほしい。