【漫画】森の中にある謎の扉、鍵穴を覗いたら……? 人間の“罪”を見るWeb漫画に反響
――作品がたくさんの人の目に留まっていると思いますが、ご自身としてはいかがですか?
三堂マツリ(以下、三堂):思ったよりも反響が大きかったですね。シンプルなハッピーエンドの作品ではないのに、ここまで多くの方々に楽しんでいただけて嬉しいです。少年たちの物語で入り込みやすかったのも要因なのかなと。
――作品の着想は?
三堂:「内に秘めているもの」をテーマに漫画を書きたくて、森にある神秘性のある舞台に鍵のかかった扉を組み合わせようと思い付いたんです。
――西洋の童話をイメージさせるような内容はどのような意図が?
三堂:世界への入りやすさを意識して、堅苦しくならないようにファンタジー的な描き方を心掛けています。ふたりのメイドが登場する冒頭も、読者の人も鍵穴を覗いているような演出にしようと。ヤン・シュヴァンクマイエル監督の映画や、林田球さんの漫画『ドロヘドロ』には影響を受けました。
――本作に登場する「罪」はどこからピックアップされたのでしょう。
三堂:「猫がソーセージを盗む」といったライトなものから、墓荒らしや放火など咎められるようなものまで入れたいと考えて選びました。
――主人公の少年たちが『シャーロック・ホームズ』や『ハムレット』を引用して話す場面も印象的です。
三堂:彼らが同年代の子たちより少し賢い様子を描きたかったんです。それが「このふたりが内に何を秘めているんだろう?」というドキドキに繋がっていくかなと。また鍵穴から自分たちが見えてしまう展開は一番書きたかった場面で、最初に浮かんだアイデアでした。
私は最初とラスト付近の見せ場を考えてから描き始めることが多いですね。他の部分は実際に制作しながら考えていきます。
――難しさを覚えた部分はありましたか。
三堂:オチですね。何パターンか考えて悩みましたが、最終的には「これは罪なのか?」ということを読者の方々に考えてほしいという想いを込めて、こういう形になりました。読んでくださる方がいて漫画は完成すると思っているので、そこは大切にしている部分です。
――商業連載とSNSへの投稿で描き分けている部分はあります?
三堂:境界線はないと思います。ただ商業の方が他の方の手も加わりますし、個人的にはよりブラッシュアップしたものを掲載したいという気持ちはあるかもしれません。逆に自由に描いた方が反響がいい場合もあるので、そこは時と場合によりますが、どちらも好きです。
ただ私は古い人間なので、漫画は本で読む派。自分の手で紙をめくりたいと思うんです。漫画を描く時も時代設定をあえて古めにしていたり。そちらの方が異質な世界観を演出しやすいんですよね。
――今後どういった作品を描いていきたいですか。
三堂:変わらず、世界観に入り込んでもらえるような作品を作りたいです。具体的には1980~90年代くらいの、今より少し不便な時代の作品をもっと描ければ。