【漫画】もしも悩み多き女性が圧倒的な力を手に入れたらーー脅威のヒロイン描くWeb漫画に反響
ーー内田さんにつよい恐怖と大きな共感を抱いてしまった作品でした。本作を創作したきっかけを教えてください。
水田マル(以下、水田):私は2年ほど前に勤めていた会社を辞め、漫画家を目指し始めました。そのとき漫画賞へ応募する作品を描こうと思い、制作したのが本作です。もしも自分が物理的な力をもつ人だったら、もっと自由に生きられたんじゃないかと思ったことがありました。人間は無意識的に身長が高かったり、体格の良い人を見るとおびえているような気がして。力を持っている人は、その力を使う機会がなくとも、力によって相手をけん制することができますし、力を持っている状態はすごく安心できるかもしれない。そんなことを考えながら本作を描きました。
ーー作中では核兵器に関する会話も描かれました。
水田:「力を持つこと」をテーマにした作品を制作をするなかで、本作のような力によって相手をけん制できる構図は、さまざまな国が核を保有する状況と重なると思いました。そのため作中に核兵器に関する会話を織り交ぜました。
ーー本作の物語はどのような順番で構成された?
水田:最初に力を持つこととなる内田さんの物語を思いつきました。そこから作品の結末を考え、最後に冒頭のシーンを構想しました。そのなかで本作の結末をどのようなものにするか、とても悩みました。内田さんは幸せであってほしいけれど、多くの人を殺害しているためハッピーエンドにするわけにはいけないので。
ーー終盤で描かれた“いくら知性を持ち取り繕ったとて/人は物理的な強さにすがってしまう”という台詞が印象に残っています。
水田:この台詞は本作の核となるテーマであるので、絶対に入れようと思っていました。ほかの部分は読者の方にワクワクしてほしいと思い、さまざまなモンスターが垣間見えるように描きました。本作のキーワードでもある77ページ目で作品が幕を閉じることを調整しながら、ただただ私も楽しめるように描きました。
ーー本作の世界観について教えてください。
水田:ざっくりとしか考えてはいませんでしたが、内田さんのような人間が変容したミュータント、そして宇宙から地球へやってきたインベーダーが存在している世界が舞台となっています。野放しにしているものも存在しつつ、危害を及ぼすものは組織が管理している、といった世界観です。SF映画『メン・イン・ブラック』から着想を得た部分が多いです。
ーー印象に残っているシーンは?
水田:内田さんが幼少期の出来事を回想するシーンです。過去に親戚一同が集まる場で、親戚のお父さんが自分の娘を「ブス」と言っている光景を見て、すごくショックを受けて。その場で「そんなことないよ」と叫べばよかったのに、私は叫ぶことができなかった。そんな心残りから作中の回想シーンを描きました。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
水田:大学生の頃に初めてGペンを触る機会があり、その際に「漫画みたいな線だ」と思ったため漫画を描き始めました。それ以降は趣味で漫画を描くようになりましたが、会社に勤めるようになってからはあまり漫画を描かないようになって。ただ当時ゲーム会社に勤めていたのですが、少しモヤモヤすることがあり転職をしようと思い、漫画家を目指すようになりました。
転職をする際に自分が就けそうな仕事のなかで、できるだけ世渡り力があまり必要なく、自分の実力だけで戦えそうな職業は何かと考えて……。その答えとして浮かんだのが漫画家でした。
ーーなぜ自分の実力で戦える職業に就こうと思った?
水田:世の中の風潮として出世しづらい性別があったり、まだ学歴、容姿差別や年功序列が根付いている会社が多いと思っています。そのような事が全く評価に影響しない職業を選ぼうと思いました。
ーー今後の目標について教えてください。
水田:現在『裏サンデー』で連載している『アヤシデ 怪神手』の制作を頑張りたいです。読み切り漫画とは勝手が違うため戸惑うことも多いですが、読み切り漫画と同じくさまざまな祈りを込めて作品を描いていきたいと思います。
本作の続きはコチラ(https://twitter.com/mizutamaru777/status/1714547437392867381)からお読みください。