【漫画】何をしてもつまらなかった女性が“幸せになる薬”を飲んだ結果は? 幸福を問うWeb漫画に反響
ーー本作にはX上で多くのコメントなどが寄せられている作品かと思います。今回の反響に関する感想を教えてください。
なまくらげ:読者の方に考えてもらいたいと思い漫画を描いているので、多くの人に作品を読んでもらえたり、色々な意見をいただけたりなど、作者冥利に尽きるなと思いうれしく感じました。また作中に登場する薬がほしいという声が想像よりも多くて驚きました。
ーー本作を創作したきっかけは?
なまくらげ:小学生のころにファミレスなどのメニューを料理人が評価するといったバラエティー番組を見ていました。そのとき当時の自分が美味しく食べている料理が酷評され、そんな評価をする方々はもしかしたら不幸せなのではと思ってしまうことがありました。もちろん番組の演出上、仕方のないことだとは思いますが……。
ここ数年でも自分が美味しいと思っていた料理が友人の口にはあまり合わなかったことがあり、同じ料理を食べているはずなのに、得られるものの違いが生まれるのはなんでだろうと考えることがありました。
また電極を脳に接続することで幸せな経験を得られる「経験機械」という思考実験があります。このような事例を題材としつつ、自分の経験と組み合わせながら、個々で得られる感覚の違いや幸せをテーマにした漫画を描こうと思いました。
ーーもしも作中に登場する薬が存在したら?
なまくらげ:自分が使用するかはわかりませんが、服用する際には二の足を踏んでしまうかもしれません。薬を飲めば幸せを確実に得られるとは思いつつ、客観的にその状況は幸せなのかというとむずかしくて。
もしも、この薬が世界の人々に広まったら……と考えながら本作を創作していました。私の考えではありますが、そのような状況になれば、おそらく技術の発展が止まってしまうのかなと考えています。
現状に満足していないから、より良いものをつくろうとする。その積み重ねで現代にいたるまでの技術の発展があると思うので、現状に満足してしまう状態になると、色々と立ち入らなってしまうのではないかと感じます。それこそインフラ整備が止まってしまったり、しまいにはこの薬をつくる人さえいなくなってしまうかもしれません。
ーー本作の結末もグッドエンドのように感じつつも、個人的にはバッドエンドにも捉えることができる終わり方だと感じました。
なまくらげ:この結末では不気味な怖さを残すことを意識しながら描きました。もちろん彼女が1回幸せになって、良くないものがわからなくなり「どうしよう」と彼女が悩む……という終わり方でもよかったのだと思います。
ただ、そのような結末だとこの薬の怖さが引き立たないと思い、みんながこの薬を使い始めたらどう思うかといった問いかけができるオチとして本作のような結末となりました。
ーー本作を描くなかで印象に残っているシーンを教えてください。
なまくらげ:主人公がパスタを美味しそうに食べているシーンが気に入っています。この場面は薬の効果を際立たせる少し不気味なシーンでもあるのですが、いつもよりも表情豊かに描けたと気に入っていて。
このシーンは本作の重要な場面でもあり、大切な局面で自分の気に入った絵を描くことができたことが印象に残っています。
ーー今後の目標について教えてください。
なまくらげ:目標といったものはあまりなく、自分の一部を作品に出してみんなに見てもらえるといった今のサイクルが楽しいので、趣味の範囲で創作を続けられたらと思っています。しいて言えば続けることが目標でしょうか。
気が付けば2年以上も創作を続けることができ、ありがたいことに色々な人に作品を見ていただけるようになったので、読者の方の期待に沿えるような作品をつくっていけたらと思っています。