【漫画】猫が覚えてしまった快楽……終わりなき「腰トントン」の要求に飼い主たちが共感

――本作の反響はいかがですか。

園田ゆり(以下、園田):実際に猫を飼われている方が、作品をSNSで引用して「うちの猫はこうだよ」と教えてくださることが多いですね。私自身も勉強になってありがたいです。紙媒体よりもSNSの方が反応が早いですよね。なぜかは分かりませんが特にInstagramは早い(笑)。

――着想を教えてください。

園田:もともと猫好きで、保護猫カフェに行ったり、野良猫や自分の飼い猫を触っていると、腰トントンが好きな子が一定数いるんです。そのなかでも延々と求めてくる近所の野良猫がいて、「いつになったら許してくれるんだろう?」と思うくらいやり続けた経験を漫画にしました。

野良猫でも人に慣れている子は、散歩などで何度か会っていると自分から寄ってきてくれるんですよね。

――他のストーリーも基本は実体験ベース?

園田:飼い猫を見て発見したことを作品にすることが多いです。とはいえ本格的な保護猫活動家でも医療従事者でもない素人なので、知識の及ばない部分は取材したり、獣医の方に医療監修をしていただくこともあります。

――猫たちを描く時に工夫している点などがあれば教えてください。

園田:以前はフルデジタルでしたが、『ツレ猫 マルルとハチ』の連載が始まってからは、PCばかりで目が疲れるのとアナログの線の方が早く描けるので、今は両方で制作しています。始めはスピード重視のつもりでしたが、手書きの太い線の方が温かみや不器用な質感が出るので作品に合ってましたね。下書きをデジタルで描いて出力したものにアナログでペン入れをして、それをさらに取り込むという工程です。

――作品全体でのこだわりについても聞かせてください。

園田:動物を喋らせているのでファンタジーなのですが、「猫同士でこういうことはあるだろう」と現実離れしない範囲でキャラを動かすことを心がけています。漫画ならではの誇張はありつつも、リアリティのある表現を崩してしまうと世界観が壊れてしまいますから。

――SNS向けに描き方や上げ方などで気にされていることは?

園田:インパクトのあるカットを冒頭に持ってきたり導線を意識することはありますが、コントロールできない時は流れに任せて描いています。「こうやったらバズる」というのが理解できていないので、たまにハネれば嬉しいなという感じ。

私自身もSNSのタイムラインに流れてくる作品を読んだりもします。猫漫画で動物の描き方が上手かったり、自分には描けない展開だったり、色々な感性がありますよね。

――なぜ、これほどまでに猫は愛されるのだと思いますか。

園田:色々な模様や大きさ、毛の色は違いますが、基本的な個体差が少ないからじゃないでしょうか。犬はデザインが豊富で、一口に「犬好き」と言っても人によって好みが違うんですよ。多様性がありすぎる。猫は大体は3~5キロほどの範囲で、イメージもある程度の範疇に収まっているから、好きな人も団結しやすいのかなと。

あとは野良犬より野良猫の方が普段から目にしやすいというのもありそうです。ちなみに私自身は犬も猫と同じくらい大好きです。

――今後描きたい題材などがあれば教えてください。

園田:血縁関係よりも、色々な出自の人が何となく寄せ集まって、知恵と努力を使って奮闘する『アイシールド21』(原作:稲垣理一郎/作画:村田雄介)のような作品が好きなんですよ。そんな共同体意識を描くのが好きなので、今後も猫たちの絆や部活ものなどを描きたいと思います。

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