『るろうに剣心』最強かと思いきやあっけなく敗北……期待外れだった「武器」3選
和月伸宏の漫画『るろうに剣心』(以下、『るろ剣』)は、幕末に人斬り抜刀斎と恐れられた緋村剣心が明治時代を舞台に活躍する物語だ。作中には剣心の愛刀「逆刃刀」を筆頭に様々な武器、兵器が登場し、読者を興奮させた。しかし、なかには鳴り物入りで登場したにもかかわらず、本編であまりいいところを見せることができずに消えてしまったものもある。
では、いったいどんなものがあっただろうか。記者の偏見と独断で選んだ3選を紹介しよう。
まず第3位は、アヘンの闇取引で稼いでいた悪徳青年実業家・武田観柳の必殺兵器、ガトリングガン(回転式機関砲)だ。1分間に200発の弾丸を発射できるスペックは申し分ないもので、最新鋭の近代兵器の前に剣心たちも逃げ回るしかない―― そんな場面まで追い込まれた。
ところが、最後はあっけなく弾切れ。観柳はあっけなく剣心に倒されてしまった。武器としては強力だったが、使い手が何も考えずに調子に乗りすぎたのが問題だった。とはいえガトリングガンはかなりインパクトを残したことは間違いなく、実写映画版の『るろ剣』にも登場するし、宝塚歌劇版の『るろ剣』にいたっては「これがガトリング砲(ガン)」というソロ曲まで存在するほど見せ場がある。『るろ剣』を代表する兵器のひとつといえるだろう。
第2位は相楽左之助の武器、斬馬刀だ。馬に乗った兵士を丸ごと斬り倒す、そんなコンセプトで製造された武器である。左之助は初登場の頃は“斬左”という呼び名があったが、それは“斬”馬刀の“左”之助であるためだ。重量級ゆえに使い手は限られていたが、喧嘩屋の左之助は持ち前の怪力で軽々と持ち上げることができてしまうのだ。斬馬刀の前では剣心の逆刃刀がしょぼく見えるほどであった。
ところが、斬馬刀には致命的な弱点があった。その大きさゆえにどうしても攻撃の型が打ち降ろすか薙ぎ払うかというパターンになってしまい、剣心は動きを簡単に読んでしまったのだ。かくして剣心に大したダメージを与えることができずに終わり、最後には真っ二つに割られてしまった。以後、左之助は拳を武器に戦うキャラに変わった。“斬左”の設定は忘れ去られたかのようにみえたが、人誅編では再び斬馬刀が登場。しかし、アームストロング砲には対抗できたものの、最期はあっけなく破壊されてしまうのであった。
第1位は文句なしで志々雄真実の「煉獄」だろう。煉獄といっても『鬼滅の刃』のキャラではない。志々雄が全財力の5分の3という巨額の金を投じて購入した戦艦の名前である。大阪湾を出港して東京を攻撃、日本国家転覆を目論んでいた。ところが、である。左之助が使った小型の炸裂弾3発(友人の月岡津南から貰ったもの)を受けて大ダメージを食らい、あっけなく壊滅してしまった。
作中で、志々雄も自身の油断を反省していたが、それにしてもたった3発の炸裂弾で致命的なダメージを食らってしまうとは防御力がショボすぎるのではないだろうか。そのまま東京に向けて出港しても、どこかのタイミングで明治政府の最新鋭兵器に攻撃され、沈没していた可能性もある。煉獄を沈没させるだけなら、明治政府も剣心抜きで勝てたのではないかと思えるほどだ。ネット上ではしばし、志々雄一味が出来損ないか不良品を掴まされたなどとネタにされている。
『るろ剣』史上もっとも大々的に登場し、読者の度肝を抜いた煉獄は、最期がもっともあっけなかった点において少年漫画史上に残る悲運の兵器といえるのではないだろうか。
ちなみに、個人的には『るろ剣』最強の兵器は剣心の「逆刃刀・真打」が1位で、2位は左之助が煉獄に対して使った炸裂弾ではないかと考えている。みなさんの印象残った武器や兵器はあるだろうか。ぜひコメントで教えていただきたい。