【漫画】周りから「浮いている」友人とどう付き合うべき? 真面目だけど空気が読めない女性を描いたSNS漫画が話題
ーー本作はTwitterで大きな反響を呼んでいます。反響の感想を教えてください。
宮子玲子(以下、宮子):率直に驚きました。読者の方から感想をいただく機会があまりないので、いただいた感想の1つひとつがうれしかったです。
ーー本作を創作したきっかけを教えてください。
宮子:昨年5月に開催されたコミティア(一次創作物の即売会)に出展するために作品を描いていたのですが、開催の1か月前になっても話がうまくまとまらず……。この話で描くのは無理だと思い、別の作品を急いで描き上げました。そのときに完成した作品が本作です。
ーー夕子さんを描くなかで意識したことは?
宮子:以前の職場に少し浮いている人がいたのですが、私はその人のことが好きで。その人が夕子のモデルになっています。
夕子のモデルになった人など、これまでも少し変わっている人と出会ってきましたが、過去の私は本作のモブの子たちみたいに1歩引いて見ていました。でも本当は仲良くしたかったのかもしれないという気持ちもあったため、夕子というキャラクターが出てきたのかなと思います。
ーー夕子さんのような人物のどんなところに魅力を感じていたのでしょうか?
宮子:その人は「今それを言わなくない?」と思うようなことも言う人でした。でも仕事に対して熱心で、私も一緒に仕事をしやすいと感じていました。「ここ違いますよ」といった指摘など、私が求めていることをちゃんと言ってくれるので。
その人は一般的な価値観とは少しズレているのかもしれませんが信頼を置くことができ、たまに作品の台詞のような言葉をつかうところもチャーミングだなと思うこともあって。そういったところに魅力を感じていたのだと思います。
ーー夕子さんとは対照的な、若葉さんを描くなかで意識したことは?
宮子:夕子を引き立たせる存在にすることを意識しつつ、心情の揺れも意識しながら描きました。夕子のことが好きなんだけど、許せないところもある。夕子に対する思いが一貫していない様子を意識していました。
ーー本作のクライマックスでは夕子さん、若葉さんが物理的に浮くシーンが描かれていました。
宮子:夕子のキャラクターが出来たときから“浮く”ことを作品のテーマにしようと思っていました。その中でふたりの気持ちが高まる瞬間が視覚的にわかるように、ふたりが物理的に浮いたら面白いだろうなと思い最後のシーンを描きました。
とくに集団の中だと“浮く”ことは嫌なこととして捉えられがちですが、“浮く”ことは上昇することや、他の人とは違う視点を持っていることと捉えることもできるかと思います。現実社会の中で“浮いている”と言われている人にも、実はいいところがあるんじゃないかと思っています。
作中で登場するコーヒーフロートも浮くこと、フロートを想起しながら描こうと思いました。
ーー漫画を描きはじめたきっかけを教えてください。
宮子:小学生のころに漫画家になりたいと思っていましたが、なにか行動に起こすことはありませんでした。ただ大学生のときに友人から合同誌の出展を誘われ漫画を描きました。漫画を描くことは楽しかったですが、そのあと作品を描き続けることはなかったです。
そのあとリモートワークが中心となり今後について考えるなかで、仕事とは別に自分の作品を継続的に発表していくことで人生が楽しくなるかもしれないと思い、再び漫画を描きはじめました。今振り返ると漫画を描くことは自分に合っていたのだと思います。
ーー漫画が合っていたと思う理由は?
宮子:昔からイラストを描いていたのですが、他の人のイラストを見る際には自分が好きだから見ている、というよりも自分の作品の参考になるから見ていたという節がありました。ただ漫画を読むことは純粋に好きで、もしかしたら漫画の方が生活の中で根付いていたのかもしれません。
また私は絵だけで表現するよりも言葉も用いた方がうまく表現できると感じていて、表現の手法としても漫画は自分に合っているものだと感じています。
ーー今後の目標を教えてください。
宮子:自分が面白いと思うことに対して正直に表現していければと思います。近いうちに商業誌で作品を掲載していただける予定なので、今後は商業誌でも描いていきたいです。