【漫画】もしも狛犬がWi-Fiを借りにきたら? ユニークな設定のSNS漫画がゆるくてカワイイ


――可愛い狛犬たちにほっこりしてしまいました。本作はどのように制作されたのですか?

曲水:ネーム(簡単な下書き)状態で止まっていたアイデアを、年始に清書して仕上げた作品です。もともと私が神社などの和風なもの、マスコットキャラや動物が好きなので、それが出てくる内容にしようと思ったのが出発点でしたね。

 あとは自分の商業デビュー作も『宇賀神妖怪相談所』ですし、妖怪も好きなんです。『ゲゲゲの鬼太郎』だったり、京極夏彦さんの小説などで知識を深めたり。いるのか、いないのか、でも理解したい存在として興味がありました。

――狛犬たちがWi-Fiを繋ぎにきたり、PowerPointを操作する展開も興味深かったです。

曲水:古めかしい神社にギャップを加えたいとは思っていました。そこで発祥は古いけれども歳を取ることもない狛犬は、テクノロジーについてくることができるんじゃないか、と閃いたんです。コメディに必要な「予想外で突拍子のないこと」を表現するのに持ってこいだなと。

 私自身は普段、IT系の会社勤務なのでExcelを使うことが多いんです。でも営業の方が資料作りにパワポを使っているのを見ていたので、それがアイデアとして出てきたのだと思います。

――ゆるいギャグ漫画家/IT系勤務とは、そこにもギャップがありますね。

曲水:仕事は多少パソコンを扱えるから就職したのですが、漫画は趣味で描き続けていて、昨年に商業デビューできたという感じです。本当に独学で描き続けていただけなんですよ。

――キュートな絵のタッチについて、他の漫画家からの影響は?

曲水:特定の方はいませんが、ギャグ漫画はシンプルな絵柄の作家さんが多いので、そこからは影響があると思います。性格なのか、元気な絵の方が個人的にも好みですし。会話のアイデアもすぐ浮かぶので描きやすいですね。

 ただ手癖で描くと大体が明るいキャラになってしまうので、もっと幅が広がればなと。あと学生時代、漫画研究会の友人に作品を見せると「セリフが曲水さんの声で再生される」とよく言われてました(笑)。

――商業デビューに踏み出したきっかけは何だったのですか?

曲水:以前は自分が商業で書き続ける自信がなくて、賞にチャレンジすることもありませんでした。ただ自分の実力を知りたくて白泉社さんの「マンガラボ!」に応募したんです。今は他の出版社さんでも投稿サイトなどで気軽に編集者さんに読んでもらえるので、ハードルが低くなったのは自分にとって大きかったですね。

――今後の展望を教えてください。

曲水:引き続きギャグ漫画をTwitterや商業誌で書いて、より多くの人にふふっと笑って楽しんでいただければ嬉しいです。でも今の職場も愉快な方が多いので、そちらも楽しみつつ無理せず書いていければ。あとは今使っている制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」のタイムラプス機能でのメイキング動画もあげたり、「Kindleインディーズマンガ」にも注目しているところです。

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