【漫画】男子高校生が作った弁当のお味は? ほのぼの友情物語に主婦たちも共感

――「山田の弁当」は4.4万いいね、約1万リツイートを突破しておりますが、これを受けていかがですか。

柏木:9月に発表した『だっこ』が3万いいねくらいで、それくらい伸びたのは数年前にホラー漫画を描いた時以来です。久しぶりにここまで伸びましたね。ただ十分すぎるほどに広がったので、今は「次行ってみよう」という気持ちです。

――本作の制作経緯も教えてください。

柏木:毎月2本は作品をアップしているのですが、先月はあまり時間とれなかったので、本作はスケジュール調整的に描いたものでした。お弁当のことで個人的なエピソードがある訳ではなく、単純に山田君の漫画は短くまとまってくれるから描きやすいんですよ(笑)。

――なるほど。気軽に発表した作品がここまでバズるのは興味深いです。

柏木:万単位のフォロワーを持つ方がリツイートしてくれたのもあって、広がっていった印象です。ママさん界隈などの色々な方面から感想をいただいたり、自分の意図していなかった解釈もあり面白かったですね。やはり何が読者に刺さるのかはわかりません。

――作家活動はどのようにされているのかも教えてください。

柏木:今年で5年目です。最初は働きながら続けていましたが、2年くらい前に仕事をやめなければならず、それを機に「この道一本で行く」と決めました。今はpixivFANBOXがメインの収入で、さらに商業連載が1本、これで何とかプロとしてやっている気はします。

 ただ今やプロ/アマチュアという線引きは曖昧ですよね。僕も活動何年目でプロになったという明確な線引きはなかったですし、今も宙ぶらりんな認識ではありますが「自分は漫画家だ」とは言えると思います。

――今後は商業作家として活動の場を広げていくのでしょうか?

柏木:それよりも、描きたいものをずっと描きたいという想いが強いです。実は9年くらい前まで商業漫画を描いて生活したいと思っていました。でも当たり前ですが、その世界では企画が通らないと描き始めることもできません。一方で描きたいものは、次から次へ湧いてくるので、それがストレスでした。それならいっそ、ネットで描きたい時に勝手に始めちゃえと。

 その後、FANBOXなどのプラットフォームも登場し、過去作も改めて自分の武器になりました。今は描きたい作品を読みたいと思ってくれる方が、ひとりで増えるのを願って今は描いています。

――漫画を描き始めたのはいつですか。

柏木:今34歳ですが、描き始めたのは20代前半に都内の大学の漫画研究会に所属したのがきっかけでした。部誌(サークルが発行する同人誌)に描いた作品の評判がよくて、それが嬉しかったんですよ。その快感が今も忘れられずに描いているところもあります(笑)。

――創作の上で心掛けていることは?

柏木:Twitterに投稿するからといって、ページ数が4の倍数に囚われないようにとは意識してます。9ページや11ぺージになっても気にせず「これがベストな形だ」と。

――影響を受けた作家もいたら教えてください。

柏木:ショートショートが好きなので諸星大二郎先生や、山本ルンルン先生、萩尾望都先生の短編作は影響を受けています。あとTwitterに作品を上げている方でいうと、夕方ですねさんは毒のある作風が好きだなと思いました。

――今後の目標はなんですか。

柏木:その時に描きたいと思った作品を描くことをひたすら繰り返しているので、壮大な夢がある訳ではありません。でも描きたいネタはたくさんあるので、これからも短編漫画を粛々と描いていきたいです。

柏木大樹pixivFANBOX:https://kashiwagidaiki.fanbox.cc/

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