【漫画】沖縄の学校にある「姉妹制度」とは? 思春期の甘酸っぱい関係を描くTwitter漫画が話題
ーー姉妹制度という新鮮で曖昧な関係を魅力的に感じた作品でした。創作のきっかけを教えてください。
宮城みち(以下、宮城):沖縄の制度や文化を漫画として描けたらと思い、本作を執筆しました。本作を描くにあたり沖縄のことを思い返すなかで、自分が中学生だった頃に存在していた姉妹制度を思い出したことが創作のきっかけです。
ーー宮城さんが通っていた学校にも存在していたのですね。
宮城:はい。沖縄で同年代の女性と話すと姉妹制度に関する話をよく耳にます。文通をしたり、一緒に撮ったプリクラを手帳に貼ってみんなに自慢していました。
ーー小学校から高校まで存在していた制度なんですか。
宮城:中学校で多く見られました。中学生の思春期を切り取った、ほんの一瞬の文化だったのだと思います。中学時代に姉妹関係となり、高校でも仲良く交流する人たちもいましたね。
ーー作中で描かれていた通り、思春期特有の心情と姉妹制度は大きな関係がありそうだと思いました。
宮城:中学生にとって同年代のクラスメイトではない、年上の先輩と交流することは新鮮な体験だと思います。同級生同士では生まれない、恋愛や憧れにも似た不思議な信頼関係が生まれていました。ただ、きらびやかな関係というよりももっと身近なもので、女子生徒同士の遊びの延長線上にある関係だったと思います。
ーー同級生同士で文通をする女の子の姿は全国でもなじみ深い光景だと思います。
宮城:綺麗なペンを集め見栄えの良い手紙を書こうとしたりなど、姉妹関係の生徒が行う文通は同級生と行うものと異なる特別感があったと思います。年齢差のある関係だからこそ、丁寧に手紙を書こうとする生徒の姿をよく目にしていました。
沖縄では年上の人を表す「シージャ」という言葉があるように、姉妹制度には沖縄に根付いた年配の方を敬う文化も影響しているのかもしれません。
ーー宮城さんは沖縄県のご出身だと伺いました。沖縄を題材とした作品を描く理由を教えてください。
宮城:私は大学進学を期に東京へ出てきました。沖縄から離れた理由として、外から沖縄を見てみたかったこと、高校生までの私は沖縄を狭い世界と感じていたことがあります。狭い世界が嫌だと思い外の世界に出たのですが、沖縄から離れたことで地元を客観的に見ることや、沖縄との距離を感じることができまたのです。
沖縄に戻り創作活動をすることとなった際に、これまで自分にとってしがらみのように感じていた沖縄を表現してみることで、自分にとって沖縄がどんな存在であるかを確かめてみたいと思い創作を始めました。
ーー沖縄を漫画で表現するなかで感じたものを教えてください。
宮城:年を重ねるにつれて社会的な問題などを抱える沖縄の一面も見えるようになりました。ネガティブな側面を知りつつ沖縄に関する漫画を描くなかで、積極的に社会に参加しようという気持ちが芽生えてきたと思います。
沖縄の現状を知ることで悲観的な気持ちを抱くこともありますが、未来につなげていくためにできることはなにかと考えると、自分には漫画を描くしかない。沖縄を題材とした作品を描くなかで、後ろを向きつつも前向きに「やっていくぞ」という気持ちを得られているのだと思います。
ーー漫画を通じてどんな人に何を伝えたいですか。
宮城:本作や現在連載している漫画『母の元カノと暮らした。』は女性同士の関係を描いた話であるので、女性の方に見ていただきたいという思いがあります。沖縄に限らず、小さなコミュニティのなかにもセクシャルマイノリティは存在しているということを描きたいし、知ってほしいです。
ただセクシャルマイノリティを特別視するのではなく、当たり前であり普遍的で、どこにでもある日常を描いた漫画として見ていただきたいと思っています。私にとっての当たり前を受け取ってもらえるとうれしいです。
■書籍情報
姉妹制度にまつわるエピソードも収録された『母の元カノと暮らした。』第1巻が12月23日に発売予定!
『母の元カノと暮らした。』
著者:宮城みち
出版社:講談社
発売日:2021年12月23日