ニョクマム、腐乳、蜂蜜……『美味しんぼ』流、調味料の“一味違う”使い方
料理漫画の金字塔『美味しんぼ』は、日本の食文化に大きな影響を与えた。料理はもちろんだが、調味料も同様である。
今回は『美味しんぼ』に登場した調味料と、その使い方を検証してみたい。
ニョクマム
ベトナム料理で使用されるニョクマム。一般的に魚介類に塩を加えて発酵させた食品(魚醤)で、醤油と似た調味料である。
『美味しんぼ』では頻繁にこのニョクマムが登場し、作品で存在を知った人も多いという。11巻の「香港味勝負」では、山岡が香港で商売をしていた子供にニョクマムの調達をせがみ、時間ギリギリで手に入れることに成功し、対決に勝利している。
また、86巻ではニョクマムで下味をつけたナスを揚げ料理を作ったこともある。山岡はニョクマムを、「隠し味」としてかなり重宝していたのだ。このニョクマムは「ヌックマム」とも呼ばれるもので、日本でも市販されている。
腐乳
海原雄山が美食倶楽部でアジアの首脳に振る舞ったマトン料理で使った隠し味が、腐乳だった。
腐乳は豆腐に麹をつけ、塩水につけて発酵させた食品で、ソースとしても使われる。おもに中国や台湾などで使用されるもので、非常ににおいが強く、瓶詰めとして流通されている。雄山は独特な匂いがするマトンを丸焼きにしたうえで、仕上げとして腐乳を使ったのだ。
このマトン作りでは雄山が交通事故で入院し、山岡が美食倶楽部で調理を指揮したが、仕上げのところで雄山が病院から駆けつけ、八丁味噌を使おうとした山岡を叱り、腐乳を使った。
和解していなかったものの、腐乳の味を認めていた山岡はアジア首脳の前で挨拶する際、「臭いものには臭いもので対抗する。そうすると臭いが抑えられるだけではなく、両方が助けあってさらに深みを出す」と説明していた。
非常に強烈なにおいを放つため、使用には注意が必要だが、上手く使用することで、なんとも言えない美味しさを出すことができるといわれている。