【徹底レポ】『京都大作戦2026』、太陽が丘に広がった壮大なロック絵巻 10-FEETと“夢”を分かち合った名シーン尽くしの2日間

『京都大作戦2026』徹底総括レポ

ヤバT、coldrain、HEY-SMITH、w.o.d.、KUZIRA…夢を受け取ったバンドたちの躍動

 こうしてベテラン勢がアツいライブを展開する一方で、若い世代のバンドの躍動も今年は本当に印象的だった。まずは両日のトッパーを務めた2バンド、KUZIRAとw.o.d.。彼らが“丘越え”を果たして源氏ノ舞台に辿り着いた意味は大きい。

 「映画でもなんでもひっくり返る瞬間が一番面白い」「マンネリ化したフェスシーンに風穴を空けにきました。それがパンクバンドでできるのは俺たちだけだと思ってます」という末武竜之介(Vo/Gt)のMCが象徴的だったように、パンクバンドだからこそ型にハマらないライブをやってのけたのがKUZIRAである。2ビートの効いた「Backward」から幕を開けると、「So Far So Good」や「Pacific」といった気持ちいい歌心と疾走感を併せ持った楽曲たちが朝の太陽が丘を駆け抜ける。さらに、スカからメタリックなリフへとめくるめく展開で楽しませる「Clown」、カラッとしたオルタナ/パワーポップ的なエッセンスを取り込んだ「And Dance Going Nowhere」などからは、メロディックハードコアだけでは語り切れないKUZIRAの幅広さ、音楽の可能性を探求する自由なパンクマインドそのものを感じた。今年Ken Yokoyamaが不在だったことがどこまで影響しているのか定かではないが、“PIZZA OF DEATH代表”としてのプライドを見せつける素晴らしいオープニングライブだった。

『京都大作戦2026』ライブ写真
KUZIRA(写真=サカイ マサト)

『京都大作戦2026』ライブ写真

 もう1組の丘越えバンド w.o.d.も、グランジというベースを持ちつつも、ミクスチャー的なマインドで楽曲ごとに音楽性を刷新し続けている。それでいて、硬派なカッコよさを貫きながら規模を拡大している稀有なロックバンドだ。「STARS」「イカロス」「1994」と序盤に畳み掛けた代表曲たちもさることながら、今のw.o.d.の面白さを最も体現していると感じたのが、7月5日時点での最新曲「RISE」。THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 「G.W.D」を彷彿とさせる大地を切り裂くような重たいリフでの幕開け、ジャック・ホワイトの如き鋭いギターの鳴り、Queens of the Stone Ageの如きタイトかつヘヴィなアレンジが加わる2番からの展開の妙……など、1曲の中にも様々なロックのダイナミズムが詰まっている構成はさすが。広いステージでも、ヒリヒリと生々しい音色を聴かせてくれるのがw.o.d.らしい。広大なフィールドを包容力溢れるサイトウタクヤ(Vo/Gt)の歌心で包んだ「オレンジ」、焦燥的なUKロックにヒップホップのビートを混ぜ込んだミクスチャー「TOKYO CALLING」、鬱屈でも踊らんとする狂騒のダンスパンク「踊る阿呆に見る阿呆」など、持ち味を遺憾なく発揮し、2日目朝の太陽が丘にソリッドな爪痕を残した。

『京都大作戦2026』ライブ写真
w.o.d.(写真=青木カズロー)

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 「映像で見ていた景色が目の前に広がっています」(末武)、「初めて買ったレスポールに10-FEETのステッカー10個くらい貼ってました」(サイトウ)と、源氏ノ舞台に立った感慨を露わにしていたKUZIRAとw.o.d.。まさに、10-FEET世代から夢を受け取って、ロック絵巻の広がりを最前線でアツく体現している2バンドだ。広いステージで、パンクやロックの自由さを武器に、これからの『京都大作戦』やロックシーンそのものの主役を担っていける可能性を大いに示した彼ら。その未来も楽しみに見続けていきたい。

 「夢の舞台」という言葉をそのまま口にしていたのは、coldrainのMasato(Vo)だ。“冷たい雨”が降りしきる中、「『大作戦』のステージに初めて立った頃によくやった曲」と言って「Die tomorrow」や「Counterfeits & lies」をあの頃よりヘヴィネス増し増しで披露。原点回帰を滲ませる直近曲「INCOMPLETE」や「FREE FALL」で最新のスケールも惜しみなく提示し、盤石のライブを見せ切った。『京都大作戦』がなければ『BLARE FEST.』はなかったーーそう実感しているからこそ、15年以上前にこの舞台に抜擢された意味を改めて噛み締めているのだろう。coldrainらしく新旧織り交ぜたラウドロックで、しっかり恩を返しているところも美しかった。

『京都大作戦2026』ライブ写真
coldrain(写真=HayachiN)

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 HEY-SMITHもきっと似た想いを抱いていたに違いないが、この日の猪狩秀平(Gt/Vo)はあるリベンジに燃えていた。「Living In My Skin」や「Voodoo Go To Zoo」でひたすら踊り狂わせた後、ふと、7年前に肺気胸を患って『大作戦』の出演をキャンセルせざるを得なくなったことを思い出したという猪狩。出演バンドが代打で“HEY-SMITHのライブ”をしてくれたことに心から感謝しているからこそ、この場を借りてちゃんと一緒に演奏したいのだとか。やる気の漲った猪狩は、dustboxのSUGA(Vo/Gt)を呼び込んで「Goodbye To Say Hello」を、立て続けにcoldrainのMasato、Y.K.C(Gt)、Sugi(Gt)を呼び込んで「California」を大所帯で演奏してみせた。7年前の恩返しをこんな形で実現させるとは、袖で見ていた10-FEETにとっても嬉しい“逆サプライズ”となったことだろう(しかもSUGAとcoldrainの3人は直前に猪狩から話を持ちかけられて快諾したのだとか)。「みんなで幸せになろう」という10-FEETの想いをそのまま体現している温かいフェスだからこそ、こうして『大作戦』のステージで、ロックバンドは“夢”を求めてどこまでも自由になれるのだ。

『京都大作戦2026』ライブ写真
HEY-SMITH(写真=HayachiN)

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 10-FEETから夢を受け取ったバンドといえば、やはりヤバイTシャツ屋さん。「SHOES」のカバーでは10-FEETの3人もステージに登場し、こやまたくや(Gt/Vo)とTAKUMAでマイクを分け合うエモーショナルなシーンも。そんなこやまが「高校時代に『京都大作戦』で10-FEETを観てバンドを始めました。ヤバTを観てバンドやりたいって思ってもらえるように!」「全員バンドやれよ!」と堂々と言い放ち、パンキッシュな「かわE」を全力で歌い上げたのは屈指の名シーン。さらに「Tank-top of the world」ではレゲエ調のリフといかにも“TAKUMA節”なシャウトを響かせたり、「NO MONEY DANCE」では世間への鬱憤を笑えるネタに昇華しながら重たいギターリフを刻んでみせるなど、改めて10-FEETからの影響を多分に感じさせるパフォーマンスを展開。今年でデビュー10周年、そして『京都大作戦』初出演からも10年という節目を迎えているヤバTだが、この舞台に立っている時はいつも少年のような喜びを爆発させている。どんなに常連になっても、こやまにとって『大作戦』は“夢の舞台”であり続けているのだろう。

『京都大作戦2026』ライブ写真
ヤバイTシャツ屋さん(写真=YukihideJON...Takimoto)

『京都大作戦2026』ライブ写真

 「ちゃんと見てくれて、こういうタイミングで呼んでくれて。10-FEET大好きや!」と、5年ぶりの出演に喜びを爆発させ、土砂降りの中でも「LIMIT」のような鮮烈な進化と「LOVE」のようなスケールの大きな包容力で、バンドの底力を刻みつけたTHE ORAL CIGARETTES。念願の初出演を果たして「ついに10-FEETにバレましたね」と笑顔を滲ませつつ、ハードなセッションから流麗なギターソロ、安定感抜群のグルーヴを繰り出しながら、「ブルーベリー・ナイツ」「ミスター・ブルースカイ」「ヤングアダルト」……といった名曲をたっぷり披露したマカロニえんぴつ。35分という長くはない持ち時間の中で、各バンドが歩んできた時間の濃さをしっかり感じられるのも、『京都大作戦』が血の通ったフェスであるからこそ。牛若ノ舞台に目をやれば、すでにZeppクラス以上でワンマンを成功させているサバシスターやPaleduskが大雨をガソリンにしながら爆走していたり、the奥歯'sが10-FEETと共振するかのように眠れないひとりぼっちの少年に歌いかけていたり、FUJIBASEが終盤一気に勢いを増した雨を演出かのように活かしながら、音源以上にフィジカルな強みを発揮していたり。それぞれがそれぞれの場所で、夢追う者として切実さと力強さを音楽に変換しながら、10-FEETの期待に応えていく。

『京都大作戦2026』ライブ写真
THE ORAL CIGARETTES(写真=青木カズロー)
『京都大作戦2026』ライブ写真
マカロニえんぴつ(写真=青木カズロー)
『京都大作戦2026』ライブ写真
Paledusk(写真=toya)
『京都大作戦2026』ライブ写真
サバシスター(写真=かわどう)
『京都大作戦2026』ライブ写真
the奥歯's(写真=toya)
『京都大作戦2026』ライブ写真
FUJIBASE(写真=toya)

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