GLAY HISASHIが語る「汚れた英雄」に込めた生き様 “良くも悪くもGLAYになる”からこそ続く葛藤と広がり

GLAYから64作目のシングル『汚れた英雄』が届けられた。
HISASHIの作詞・作曲による表題曲「汚れた英雄」は今年1月に開催された『LAWSON 50th Anniversary presents GLAY Special LIVE』Kアリーナ横浜公演を皮切りに、すでに何度もライブで披露されてきた楽曲。「GLAYとしての生き様を表現したいと思っていました」(HISASHI)という超アグレッシブなロックチューンだ。さらにTERUの作詞・作曲による「NEVER SAY NEVER AGAIN」(TVアニメ『ダイヤのA actⅡ -Second Season-』第2クール オープニングテーマ)、TAKUROが作詞・作曲を手がけた「RADIO STAR」を収録。そして今年のツアーのライブ音源も収められ、現在のGLAYのリアルな表現が刻まれた作品に仕上がっている。
今回リアルサウンドでは、HISASHIにインタビュー。シングル『汚れた英雄』の制作を軸にしながら、GLAYの現状、HISASHI自身のクリエイティブなどについて語ってもらった。(森朋之)
「汚れた英雄」に刻んだGLAYとしての生き様
——ニューシングル『汚れた英雄』のタイトル曲はHISASHIさんの作詞・作曲。映画『汚れた英雄』(1982年)にインスパイアされた楽曲ということですが、制作の経緯はどんな感じだったのでしょうか?
HISASHI:GLAYとして活動するなかで、大きな壁にぶち当たる瞬間が多々あって。デビューから30年以上たった今でもそれがあって、そういうときはめちゃくちゃ落ち込んでしまうんですけど、そういう状態を落ち着かせるために曲を作ることがあるんです。「汚れた英雄」は2018年くらいに着手した曲なんですが、去年、何か心に引っかかってるものがあって、「あの曲を形にしよう」と思ったんですよね。
——HISASHIさんの中で“引っかかっていたもの”とは何だったんでしょうか?
HISASHI:去年の東京ドーム公演、京セラドーム大阪公演(『GLAY 30th Anniversary GLAY EXPO 2024-2025 GRAND FINALE』)のあと、自分のポテンシャルに不安を覚えたというか。バンド自体は常に調子のいい状態に仕上がっていて、自分自身も「すごいバンドだな」と尊敬できる存在なんですが、そこに対する自分のパフォーマンスが伴っていなかった。満足できなかった部分もあったし、端的に言うと気持ちが弱った瞬間があったんです。それをどうにかしたいという、強がりにも近い気持ちで作ったのが「汚れた英雄」なんです。今の自分に足りない武器があるとしたら、こういう1曲じゃないかなと。
——なるほど。「汚れた英雄」は、今年のツアー『HIGHCOMMUNICATIONS TOUR 2026 “GLAY-complete BEST”』でも披露されていましたが、この曲に対してTAKUROさんがステージで「『何を悩んでるんだ。自分たちのロックはこれだろう』と言われた気がした」と話していました。
HISASHI:昨今のGLAYの楽曲は非常に多角化していて。それはとてもいい傾向だと思うのですが、一番強いのは“好きなこと”だったと思うんですよね。TAKUROに何かが伝わったとしたら、そういうことなのかなと。
——「汚れた英雄」のサウンドは、00年代のミクスチャーロックのテイストが込められていますね。
HISASHI:そうですね。たとえば今、サブスクのチャートなどを見ても、あの頃のムーブメントがなかったことのように見えるんだけど、自分の中には確実に残っているんです。当時は音楽の中にいろいろなエッセンスが混ざっていた時期で、「音楽とともに生きてるな」という感じがすごくあった。日本の文化が可視化されたところもあると思うし、自分自身もかなり影響を受けたんですよね。去年解散したFACTもすごく好きだったし、そういう音楽を自分なりに表現してみたいなと。これまでのGLAYにあまり馴染まなかったジャンルだと思いますけど、この混沌とした2020年代に素直に好きなことをやるという気持ちが、ピュアな表現につながるんじゃないかなって。
——なるほど。そのスタンスが、映画『汚れた英雄』とリンクしたのでしょうか?
HISASHI:80年代の邦画はすごく影響力があったし、カウンターカルチャーとしての意味合いもあったと思っているんです。先ほど“混沌”という言葉を使いましたけど、今の時代も当時と同じように、新しいものがどんどん入ってきて、めまぐるしい変化が起きている。そういう感覚を描いてみたかったんですよね。
『汚れた英雄』はバイクレースの映画なんですけど、そんな映画は当時の日本になかったし、それはたぶん、しげの秀一先生の『バリバリ伝説』や『頭文字D』につながっていて。公道レースは実際には違法ですし、あくまでも架空の物語ではあるんですが、どこまでも速さを求めて、命を削る姿がGLAYにもつながっている感覚があるんですよ。活動の中で「これ、ホントに実現できるのかな?」ということも多々あって。メンバー4人にクリエイティブな気持ちがあるからこそ、それぞれの視点があるのでまとめるのは大変なんですけど、そういうGLAYの生き様みたいなものをこの曲で表したかったんですよね。
——「汚れた英雄」のサウンドメイクや構成も、めちゃくちゃ攻めてますよね。
HISASHI:ミックスにもこだわりました。個々の音が聴こえやすいとか、歌がしっかり聴き取れるとかではないから、かなり偏った感じにはなっているけれど。構成的にもワンコーラスしかないんですよ、この曲。平歌の部分が極端に短いんですけど、言いたいことは言い切れたし、作り終えたときはやり切った感じがありました。
——結果的に、2026年のGLAYサウンドに仕上がっていますね。
HISASHI:「結局はGLAYの音になる」というのはわかってますからね。ドラムのトリガーやギターのシーケンスもこれまでにやっているし、最後はGLAYらしくなるだろうと。良くも悪くも、自分の思い通りにならないという感じもあります(笑)。



















