ZOCX、それぞれが人生を賭けるグループへの想い 新体制1周年の手応えと新アルバム『六姫無双』を語る

ZOCX 『六姫無双』インタビュー

「めっちゃ怖かったけど、入ってみたら今すごく幸せ」(猫はう)

猫猫猫はう

ーーあはは。あいみさんはソロ曲「chao♡i♡me」がCD化されますね。強めのボーカルで歌っていて驚きました。

荼緒:でも、気持ちいいなと思ってます。

大森:7回歌わさされたんだよね。その7テイクを全部重ねて使ってるんですよ。

荼緒:「こんなことがあるんだ」って。でも、MAPA(ZOCXと同じTOKYO PINKに所属)の「絶対運命ごっこ」って曲で、くるくる(刀歌くる美)の声が7個入ってるから、それになれるんだって(笑)。そのくるくるの声がすごくきれいだから、それができるのが嬉しいです。

大森:“倍音ガール”のまっすぐ伸びた声を、いろんな場所にマイクを置いて録るのがすごく好きなんですよ。壱ノ型ができるから、7回まっすぐ歌うあいちゃおを録って、いろんな方向からその音を流していて、音が面白くなっていると思います。

ーー今回、既存曲の再録も多いですが、この中で好きな曲や苦労した曲はありましたか?

大森:再録したのは、みんなが好きって言った曲と自分が好きな曲(笑)。かなのが「CUTTING EDGE」の(鎮目)のどかのパートを全部かっさらっていきました(笑)。

戦慄:「CUTTING EDGE」は一番「これ歌いたい」っていう歌割りが多かったので、そこを歌わせてもらえて嬉しいです。

ーーかなのさんにとっては、自分がいなかった時期のZOCXの曲を歌うのは新鮮だったんじゃないですか?

戦慄:でも、私はやめた後もずっと聴いてたし、カラオケでも歌ってたので、他に収録されてない曲も全部歌いたかったんです。歌いたい曲ばっかりなのでノリノリでした。

千椿:「A INNOCENCE」は、自分がZOCXじゃない時期から聴いてたし、勝手に救われてたし、かなのちゃんを好きになった曲でもあるので、自分が歌えることがすごい嬉しい。その気持ちが強すぎて、「A INNOCENCE」を歌うことが怖かったけど、それを靖子ちゃんがほどいてくれたので歌えて、完成した曲を聴いてすっごい泣きました。自分で言うのもアレですけど、ちょっと良すぎると思って。

大森:今、それを初めて言ってるし、みんなにスタジオから出ていってほしい理由も言わなかったんですよ。不器用すぎる(笑)。

荼緒:音が新しくなってて、「LiBiDo FUSION」とか「A INNOCENCE」とか「FLY IN THE DEEPRIVER」とか、音を聴くだけですごいゾクゾクして、早くライブのでっかい音で聴きたいです(笑)。

天國:自分の声がZOCXの曲に入ってるっていうのが一番嬉しくて。「FLY IN THE DEEPRIVER」は、ライブでもやっててすごい楽しい曲です。みんなの声の重なりがすごくて、一番聴いてて好きだなって思います。聴いてて気持ちいい。

猫はう:「①④才」で、一人一人が怒ってることをバーって言うところがあったんですよ、そのまま使われてるわけじゃないんですけど。自分より前の人たちがそれをやってて、自分もこれをやるんだって思ってたら、自分が言おうと思った怒ってることに対しての怒りがすごい出てきて(笑)、そのおかげで120%のパフォーマンスができちゃって。「来る、来る!」と思ったら、もう怒りがとんでもなくなってきて、自分でも出たことない声が出て。歌い終わってから楽しかった(笑)。

大森:「①④才」は基本めっちゃ楽しい、ライブとか超楽しい、あんな感情を出していいとこないもん(笑)。

ーー『六姫無双』が完成して、もうすぐ現在のZOCXになって1年が経とうとしています。今、ZOCXに賭けている気持ちを教えてください。

天國:私は靖子ちゃんの音楽を届けたくてやってるから、まず自分がいろんな人に知られないとダメだし、めちゃくちゃアドバイスをもらってるから、ちゃんとやるべきことをやって、自分でも考えて、できることをどんどん見つけていきたいなって思ってます。豆柴の大群は絶対超える、当たり前に。

大森:酷なことをさせてるなって思ってて。WACKで学んできたことを、そのまんまいかせるわけじゃないから。新しいことを学ぼうとしたときって、一回どうしてもちょっと落ちたように見えるんですよ。そういうふうに周りに見えてたら本当に申し訳ないなって思うけど、3ゅ姫はマジでいいやつだから、がんばるぞっていう気持ちも絶やさないし、周りのこともよく見てるし、マジいいやつ。

千椿:アイドルになりたいっていう気持ちだけで、小学生から走ってきたけど、これまでのオーディションに受からなくて良かったなって思うことが多くて。TOKYO PINKに入れて、ZOCXになれたから。一番恥ずかしくて、一番隠したいところを、一番出していきたいって思えたのがTOKYO PINKに入ってからで。そこを見せるのは恥ずかしいけど、それで勇気につながってくれたり、生きてくれたり、他の人から見たら当たり前なことを当たり前と思えない子たちの少しの光になったりするのが今の目標なんです。ステージに立つことも、ずっと「楽しそう!」みたいに思ってただけだったんですけど、今は自分もみんなも「すべてさらけだすぞ」っていう気持ちです。さっきも靖子ちゃんに「最近、真夢だいぶ楽しそう」って言われて、「ウキウキです」って答えました(笑)。

大森:私もライブをしてて楽しくて、楽しそうで楽しいみたいな(笑)。同じ方向を向いてライブをやれることってすごい貴重なことだと思うし、動きが揃ってなくても揃って見えるぐらい同じ意思だからすごい自慢です。二丁魁(二丁目の魁カミングアウト)のミキティー(本物)に「今までで一番揃ってる」って言われて「揃ってるか?」って思ったんですけど、その日の映像を見返したら「こういうことか」って思いました。

荼緒:「最後のZOCX」って言ってたじゃないですか。最後のZOCXのメンバーになれたから、責任を持って最後までやりきる。そのためには3ゅ姫がさっき言ってたように、自分がもっと知られて届ける範囲を広げたいです。

大森:あいちゃおがしゃべってる間、「あ、居座る気だ」と思って。「でも、私のほうが居座る気なんだよな」って思って、この中で何人が居座る気だろうなと思うと、全員が居座ろうと思ってそうだなって考えて(笑)。そう思えることが幸せだなって思いました。

猫はう: ZOCやMETAMUSEの時代も追ってはいたけど、「好き」って言えないジェラシーみたいなのが意外とあったりして。もう自分はアイドルをやめようって思っていたし、嘘つきって言われるのを覚悟で入ったわけじゃないですか。めっちゃ怖かったけど、入ってみたら今すごく幸せだし、自分のすべての活動を、ZOCXのためにやってるものにしたいなって思ってます。今までグループでは自分の良さの見せ方に悩む期間が長くて、いつもやめてから褒められるタイプだから(笑)、そうなりたくないって初めて思ってて。モチベーション下がることを言ってくるメンバーもいないし、モチベーションを下げるファンもいないし、自分が求めてた環境であるからがんばらないといけないなって思うけど、がんばることが何なのかが難しくて。迷いながらやってるけど、早めに自分の納得できるZOCXの自分になれるようにしたいなって思います。

大森:「私が何かをあげなくちゃ」って思ってない初めての人間が猫はう(笑)。「靖子ちゃんも幸せにならなきゃいけないんだよ」って、入ったときからずっと言ってくれてて、それで私が変われた部分が多いし、自分のファンの人にも「今は猫はうがいてくれるもんね、ファンとしてはありがたいよ」みたいに言われてて、私のファンが全員「猫はうに感謝」みたいになってるから、それに対して感謝しかない気持ちです(笑)。

戦慄:なんか前代未聞の多幸感、あったことがない多幸感(笑)。靖子ちゃんが本当に友達みたいな感じで慕ってるのを見るのって、意外と初めてかもしれないです。すごくフランクな感じでしゃべっていて、キャピキャピしてる靖子ちゃんを見て、なんかほほえましいなって(笑)。私も仲はいいし好きですけど、そのレベルまで靖子ちゃんに近づけるのって、才能の気がします。

「ZOCXでの自分は、曲の中で自分がワーワー泣けるし、感動しながら歌える」(大森)

大森靖子

ーーかなのさんのZOCXに賭ける気持ちはいかがですか?

戦慄:私ができることであれば、貢献できることはなんでもしたいと覚悟して入ってきてます。もっと売れることも大事なんですけど、極論、やっぱりZOCXみたいなアイドルが存在しているだけで価値があると私は思っているんです。ZOCXをやめた後は、どうしても戻りたいと思ってたけど、その後、大人になってからは、自分じゃなくてもZOCXを伝承してくれる人がいたらいいなって、ZOCXの幸せを願うスタンスになってたんです。今、私が入ってるのはもちろん嬉しいことだし、だから自分のモチベ次第でZOCXをやめることは、ほぼ100%ないと言いきれます。やめるときはアイドルをやめるときだし、それまで自分ができることは何でもしようっていう気持ちです。

大森:仲悪いと思っている状態のときから、自分への深い愛憎を感じていたので、一言でも声をかけた瞬間に戻ってくるだろうな、と予想していました(笑)。でも、思ったよりもっと強かった、怖い怖い(笑)。一番未熟な状態とか、ヒリヒリした状態とか、「family name」で歌ったような感情とか、呪いとか、飢えている状態とかによって、すごい人は輝くけど、人はそれだけじゃないし、それでも幸せになって良いものだし。何かを失ってしまっても人生は続いていくから、自分が大人になったら終わることなんて何もないし。人生は死ぬまで続いていくから、「終わり」とされる状態も、ハッピーエンドとされる状態も続いていくものだし、死ぬまで続いていくところも楽しみたいし、見てもらいたいし。それが劣っているとは思われたくないって、今すごく思って活動してます。

ーー最後に、大森さん自身のZOCXに賭ける気持ちを聞かせてください。

大森:最初、「こういう人生があるから、この子が歌って、こういう説得力を生みだせるよね」って歌詞を書いていたけど、それはすごくその子の人生に負担をかけるやり方だし、プロデュースとして前時代的になっていくだろうなっていう感覚があって。プロデューサー、メンバーとしていろんな重圧が自分にもあったし、責任が自分にしかない状態で続けるしかなかったから、そこから逃げずに全部受け入れてきたことは誇りに思ってて。でも、それがつらかったから、「ZOCなんかをやらなくていい世界になって、ZOCを終わるのが夢だな」とまで思ったんですよ。なのに、いざ最初から一緒にいたメンバーに「解散しましょう」って言われたときに「しないよ」って即レスした自分がいて、ライトに「するわけないじゃん」みたいなレスをしている自分に気づいたんですよ。「私、解散する気ないんだ?」みたいな。続ける気満々だし、自分の生まれ育った環境のせいにせずに生きていくこととかを、どうやったらやり通せるかは、自分の人生の課題じゃないですか。それは自分の歌手活動でやってるわけではないんです。

――大森靖子としてのソロ活動とZOCXでは、やっていることが違うということですか?

大森:ソロ活動は、プロとしていろんな人生を支えようとして、「神様をやるぞ」って気概でやってるから、そこに対して迷いはない。だけど、ZOCXをやることに対してずっと迷ってる自分がいて。でも、「私はアイドルがやりたいんじゃなくてプロデュースがやりたいし、こういうことをやりたいからZOCXをやるしかなかった」っていう建前でやってたのに、みんなとの活動に向き合っていくにあたって最近、「私はアイドルをやりたかったんだ」って気づいたんです。だから、ZOCXをやってるときのほうが、めっちゃなりたいものになろうとしている自分なんですよ。「大森靖子」をやることは、人生において与えられた宿命だけど、ZOCXは与えられた宿命でもないし、自分がやりたくてやってることだから。本当はなれないはずの偶像に自分をはめこむってロックなことだから、なんならZOCXをやってるときの自分のほうがロックだって感じる。最初のZOCが魅力的なのはわかるけど、人が反発しあったり、傷ついたり、愛に飢えていたり、っていう魅力の「その先」を見せる媒体が少なすぎるので、それをやることには価値があると思ってて、だからやりたい。自分の人生だから、ちゃんと人生を見せたい。私が幸せになったっていうより、自分のまま立てる。悲しいことを、普通に泣きながら歌える。それは大森靖子ではやってないし、やってはいけないことぐらいに思ってる(笑)。ミュージシャンとしては、自分の感情で泣かせるのが仕事で、自分が泣くのは仕事じゃないから。でも、ZOCXでの自分は、曲の中で自分がワーワー泣けるし、感動しながら歌える。だから、自分も人間でいいんだって思えるんです(笑)。

■リリース情報
ZOCX『六姫無双』

<収録曲>
1.ROL
2.超絶人間天使ちゃんの老害予防講座
3.LiBiDo FUSION
4.badface
5.moreきゅん奴隷
6.はーふついん♡うぉーず
7.白は200色、ピンクは無限
8.chao♡i♡me
9.Tight Gee
10.flop
11.ENDINGING
12.DON’T TRUST TEENAGER
13.A INNOCENCE
14.CUTTING EDGE
15.①④才
16.FLY IN THE DEEPRIVER

六姫無双premium Blu-ray 収録映像
◆ZOCX 1st"badface"TOUR at 豊洲PIT
・badface
・moreきゅん奴隷
・tiffany tiffany
・ENDINGING

◆ZOCX NEW GAME TOUR 2025 at 川崎CLUB CITTA’
・LiBiDo FUSION
・超絶人間天使ちゃんの老害予防講座
・QUEEN OF TONE
・乙女の心臓

◆Music Video
・badface
・ENDINGING
・超絶人間天使ちゃんの老害予防講座(六姫無双限定ver.)
詳細:https://zoc.life/discography/1322

公式サイト:https://zoc.life/discography/1322

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