ZOC、6人体制最後のステージで見せた前衛的ライブ 新メンバー 吉良乃ジョナも初披露された中野サンプラザ公演
あなたがSNSで見ているZOCは、ZOCであってZOCではない。ZOCはライブの現場にいる。
2021年12月17日に中野サンプラザでZOCが開催した『ZOC 東京単独公演「ZOC CLUTCH 2021」』は、前半と後半とでまるで別物のような世界だった。それは、ポップさと演劇性・前衛性のコントラスでもあった。全国22会場42公演にも及んだ『ZOC FOR PRAYER TOUR 2021 SUMMER』を経たZOCの真価が発揮されたステージであったとも言える。
そして、本編は6人体制最後のステージであり、アンコールは7人体制のお披露目でもあった。
「ヒアルロンリーガール」で幕を開け、「チュープリ」「LiBiDo FUSION」「濃♡厚♡接♡触」「IDOL SONG」とポップな楽曲が続いた冒頭は、歌とダンスの完成度に風格すら漂い、今年のツアーの経験が結実していることを感じさせた。「draw (A) drow」「SHINEMAGIC」「CO LO s NA」とシリアスな楽曲へも歩を進めていく。
意外な展開を見せたのが中盤のソロコーナーだ。鎮目のどかの「Fake baby」や雅雀り子の「りこりこ☆くろまじゅつ」は順当な流れだが、西井万理那の「うんめー」の選曲には軽く衝撃を受けた。2017年に大森靖子がゆるめるモ!に提供した楽曲だ。〈僕は誰より僕になりたい〉と人の心を歌う西井万理那の姿に、心静かに感動してしまった。また、巫まろの「えちえちDELETE」は、大森靖子のソロ作品からの選曲。長い波音とともに始まった藍染カレンの「紅のクオリア」は、彼女の演技から始まった。そして楽曲が終わると、また長い波音が。そこに大森靖子が現れ、藍染カレンがいるなかで「NIGHT ON THE PLANET」を歌いだした。
大森靖子が「NIGHT ON THE PLANET」を歌い終えると、会場に長い静寂に訪れた。そしてアカペラで歌われたのが、「family name」。メンバー全員がアカペラで歌いきり、ステージ上の紗幕が上がると、現在のZOCのライブのハイライトである「①④才」へと流れ込んだ。雅雀り子の圧倒的なダンスと、メンバーの歌が会場の空気を掌握し、張りつめていく。演劇性と前衛性を含んだ表現は「REPEAT THE END」へと続き、さらに「DON'T TRUST TEENAGER」からの「ZOC実験室」は、この日のライブでもひときわ熱い1曲となった。
MCでは、藍染カレン、西井万理那、巫まろ、鎮目のどかが涙を見せた。もともとは共犯者である大森靖子と雅雀り子の言葉は力強く、全員の言葉がそれぞれに怒涛の2021年を感じさせた。
そして、「A INNOCENCE」から続いた「CUTTING EDGE」では、メンバーのパフォーマンスと、ステージ上の3つのミラーボールのきらめきに陶酔させられた。