UVERworldがライブで発揮する言葉の強さ “盟友”たるファンに向けてダイレクトに届ける珠玉の歌詞

 結成から25年、デビューから20年というアニバーサリーイヤーを駆け抜け続けているUVERworld。常に今だけを、そしてその積み重なりから成る未来だけを見据えている彼らにとって、周年は一つの通過点に過ぎず、6人は今も、毎年恒例の年末のツアーを通して、過去の自分たち自身を超え、最高の一瞬を更新し続けている。そのストイックな姿勢はアスリートに通じるもので、改めて唯一無二のバンドだと思う。

“メッセージ性が強い”という域を超える「EN」の気迫

 そんな彼らの表現や存在を唯一無二たらしめている重要な要素の一つが、TAKUYA∞が綴り、歌い届ける言葉の力である。その言葉の力は、ライブのステージ上から観る者にダイレクトに届けられる時、音源を超えた輝きを放つ。

 何より特筆すべき曲は、やはり「EN」だろう。リリースされてから4年が経つが、TAKUYA∞はしばしばライブのMCなどでこの曲のことを「今のUVERworldにとって最も大切な曲」と言及している。音源もしかりだが、とにかくライブで届けられる時の気迫が凄まじい。この曲においてTAKUYA∞が綴る歌詞は、メッセージ性が強いという域を遥かに越え、一つひとつの言葉が渾身のメッセージの結晶そのものである。歌であり、ラップであり、ポエトリーリーディングであり、シャウトであり、同時に、そのどれにもあてはまらない、まるで魂の壮絶な震えのような歌唱を通して、TAKUYA∞は、自分の人生を自分が信じる生き方で〈生きろ!〉と全身全霊で呼びかける。

 ライブでは、この曲終盤の〈来世ではどんな職業に就いて どんな人を愛したい?/それを今から始めればいい!〉というフレーズを「それを東京ドームを出た瞬間に始めろよ!」というように、その日の会場の名前を当てはめて歌うことも多い。そのことが象徴するように、UVERworldは、たとえどれだけ大規模な会場であろうと、一人ひとりの観客に、この曲の、このライブの当事者であることを強く求める。決して傍観者ではいられない。その意味で、UVERworldのライブにはある種の緊張感がある。何より、他の誰かではない自分自身に向けてまっすぐ届けられる音と言葉に触れると、「この歌にふさわしい自分自身でありたい」という気持ちが湧き上がってくる。YouTubeのコメント欄を見ると、実際に多くの人がこの曲を通して強く奮い立たされていることが分かる。

UVERworld『EN』(EPIPHANY at TOKYO DOME 2025.06.15)

間接的な比喩を介さない強烈なメッセージ

 自分こそがこの曲の、このライブの当事者である、という感覚をもたらす曲はほかにも多い。例えば、「ALL ALONE」における〈お前らに 言ってんだよ〉〈お前は お前がやりたい事を やれ〉という歌詞は、ライブで聴くと音源以上に鋭く響く。また、「Q.E.D.」における〈無謀な夢叶えて言ってやるよ/俺はお前と同じ場所に立ってた〉という歌詞もしかりだ。TAKUYA∞も、かつては客席からステージを見上げる側だった。はじめから特別だったわけではなく、揺るがぬ意志とたゆまぬ努力で一つずつ〈夢〉を叶え続けてきた。TAKUYA∞が歌う〈無謀な夢叶えて言ってやるよ/此処に希望はまだある/お前にだってある〉という言葉に、鼓舞されるような思いを抱く人は少なくないと思う。

 UVERworldの曲は、間接的な比喩などを介することなく、自分たちのファンに対して直接的にメッセージを伝えるものも多く、そうした曲たちはライブの場においてさらなる真価を発揮する。まっさきに思い起こされるのが「THEORY」だ。同曲は「セオリーとの決別の研究+81」の歌パートを再構築し、新たなライブアンセムとして生まれ変わったナンバーである。〈僕らの この人生は僕らだけのもの/でも このバンドは君の人生でもあるんだね〉と歌うこの曲では、"アーティストとファン"という形を超越した関係性が描かれている。そして「EPIPHANY」では、〈友達でも家族でも恋人でも無い/闇雲に心注いだりしないのに/僕がずっと大事にしてたモノ/君も同じように別の街で大事にしていたんだね/そんな人達を盟友と呼ぶんだってさ〉という気付きが歌われる。もはやリスナーやファンという言葉では形容できないほどの特別な存在である一人ひとりの〈君〉のことを〈盟友〉と称する同曲は、今後も長年にわたって、チームUVERworldの絆を象徴するライブアンセムであり続けていくと思う。

 また、振り返ると、「シリウス」の〈そうして君の人生も/君だけのものじゃないことも分かるだろう?/テンポも 歩幅も 手法も違っても/同じ幸せ願ってるよ〉という歌詞からも、〈盟友〉に近いものを感じ取ることができるし、「AFTER LIFE」の〈悲しい意味での孤独や 独りぼっちはもう無い/だから燃え尽きることも はぐれることも恐れぬ〉という歌詞も同じように、〈盟友〉たるファンとの連帯を互いに確かめ合う珠玉のラインとして響く。それぞれの曲がリリースされた時期は異なるが、各曲から一貫したメッセージを感じ取ることができるのは、6人の信念やスタンスがブレていないからこそだと思う。

 UVERworldが届ける言葉の力を、感覚を研ぎ澄ませて、あらためて味わってほしい。

UVERworld『AFTER LIFE』(EPIPHANY at TOKYO DOME 2025.06.15)

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