UVERworld、全方位へ響き渡った一人ひとりの“君”へのメッセージ 魂でぶつかり合った熱狂の日本武道館公演
もはや毎年恒例となっているが、年末のUVERworldのライブスケジュールは常軌を逸している。今年は、年末の12日間で計9本のライブが組まれており、言うまでもなく、その1本1本が、その日・その回に集まった観客と全身全霊で向き合う一度きりの真剣勝負だ。今回は12月25日、日本武道館で開催された『UVERworld NO ENEMY TOUR~PREMIUM LIVE on Xmas 2024~』の昼公演の模様をレポートする。すべてのライブがそうであるように、この公演も毎年恒例のクリスマス公演ならでは、そして、昼公演ならではの特別な瞬間の連続だった。順を追って、しっかりと書き記していきたい。
毎年クリスマスに行う武道館公演と同じように、今回も客席が360度を囲む形式のステージ。開演前のステージには、レッド&グリーンのクリスマスカラーのライティングが施されていて、また、各スタッフはサンタクロースの服をまとっている。開演時間を迎えると、クリスマス公演ならではの特別なSEが響きわたる。凛とした響きを放つ鈴の音に合わせて、TAKUYA∞(Vo)が歌う「Last Christmas」(Wham!)が流れ、いつもとは似て非なる高揚感が会場を満たす中、暗転。無数のレーザーが飛び交い、大量のスモークが放出される。
いつものSE「TYCOON」が轟き、1曲目の「VICTOSPIN」へ。ライブ冒頭から怒涛の大合唱が巻き起こる中、TAKUYA∞は「端から端まで誰1人置いてかねえからな」と告げる。続けて、「WE ARE GO」へ。「声聞かせて、武道館」というTAKUYA∞の呼びかけを受け、先ほどよりもさらに大きな大合唱が巻き起こっていく。分かち難く結び付く6人の音塊と、一人ひとりの渾身の歌声。共に闘うことを選んだ同志と、お互いに連帯を確かめ合うかのような熱烈な一体感。まだ2曲目にもかかわらず、まるでクライマックスのようなムードが武道館を満たす。
「stay on」では、TAKUYA∞は膝をつき、上の階の観客を指差しながら、「でっかい声聞かせてよ」「お前だよ、一番後ろの」と呼びかけながら、すべての観客にこのライブの傍観者ではなく当事者であることを求める。「ODD FUTURE」では、なんと真太郎(Dr)のドラムセットが180度回転(真太郎の任意のタイミングで回転する仕組みとのこと)。TAKUYA∞は、今まではメンバーの後ろ姿しか見えていなかった北側の観客に向けて、「北の一番後ろも最前列になるからな!」と叫ぶ。そして、夜の公演のためにエネルギーをセーブすることは一切なく、今、目の前のこのライブに全力を捧げると宣誓し、「一滴の影響」へ。〈正しく生きようとする君は素敵だよ/そんな自分を君も愛してあげてよ〉という一人ひとりの〈君〉への渾身のメッセージが全方位へと送られ、続けて、「最高のクリスマスを掴み取るチャンスがここにはあるはず」という言葉と共に「CHANCE!」へ。
誠果(Sax)によるサックスが高らかに響く中、勢いよく銀テープが放出され、またしても高揚のピークが更新されていく。TAKUYA∞は、ステージから左右に長く伸びた道を端まで歩き、東ブロック最前列の観客に「楽しんでいこうね」と告げ、続けて、逆サイドの西ブロック最前列の観客とグータッチを交わす。武道館公演でありながら、一貫して、まるでライブハウス公演のような距離の近さと親密さを感じる。
MCパートでは、TAKUYA∞は今年の年末のハードスケジュールについて、「1年間で俺たちが一番輝く12日間」と語り、それを受けて、客席から大きな歓声と拍手が同意を示すように巻き起こった。そして、「EDENへ」から次のブロックへ。幾度となく繰り返される〈そのEDENへ〉というリリック。TAKUYA∞は、何度も「全員で行こうよ」と呼びかけながら壮大な大合唱を引き出し続けていく。「Don't Think.Sing」でも、その曲名どおり観客が懸命に歌声を重ねていき、続けて、「この次の曲は夜にはやらない」「勝負はたった1回」というTAKUYA∞の前置きを経て、「Fight For Liberty」へ。〈でもこの一回 たった一回しかチャンスが無いのなら/何もかも諦めて生きていくつもりは無い/後ろに明日は無い 力を宿せ War〉という言葉が、いつも以上に深く心に突き刺さる。
まだまだ熱烈な展開は続く。「6つの風」では、TAKUYA∞がステージ後方、つまり北ブロック側に設置された道を歩きながら、北ブロック最前列の観客と拳を突き合わせていき、「ビタースウィート」では、TAKUYA∞を乗せたドラム台が180度回転。それに伴い、克哉(Gt)が正面へと繰り出し、6人全員で全方位の観客と真正面から向き合うフォーメーションに。続けてTAKUYA∞は、上の階で柱に隠れてしまっている観客を指差しながら、「端の端の君までしっかり届くように、愛を響かせようぜ!」と叫び、「echoOZ」へ。この曲では、彰(Gt)と信人(Ba)が北側の道を歩みながら北ブロック最前列の観客と熱いコミュニケーションを重ねていく一幕も。
そしてここで、曲順を間違えてしまうハプニングが発生。単にやり直すのは何か違う、ということで、急遽、当初の予定になかった「ハルジオン」を披露。百戦錬磨の6人&チームだからこそ成し得るライブ感が溢れる展開だ。続けて披露されたのは、なんと、2008年リリースのラブバラード「恋いしくて」だ。イントロが流れた瞬間、どよめきにも似た歓声が沸き起こった。狂おしいほどに胸を締め付ける美麗な歌のメロディ。その上に乗って響く切実な喪失のエモーション。高速タッピングを交えた彰の流麗なギターソロを含め、決して忘れ得ぬ名演となった。続けて、「ほんの少し」へ。ファンからもらった強さを、再びファンへと送り返していくような感動的なライブパフォーマンスを経て、楽器陣5人による音のメッセージ「High Light!」へ。思わず身震いするほどの気迫だ。