WHITE SCORPION、夢の東京ドームへの通過点 ACE復帰――変わらぬ“11人”で届けたデビュー2周年記念ライブ

WHITE SCORPIONがデビュー2周年記念ライブ『WHITE SCORPION 2nd ANNIVERSARY LIVE』を12月13日に品川ステラボールにて開催した。
2023年12月7日に1stデジタルシングル「眼差しSniper」でデビューしたWHITE SCORPION。品川インターシティホールで行われた『WHITE SCORPION 3rd ONEMAN LIVE「連撃」』以来、およそ3カ月ぶりとなる今回の公演は、前半の7曲で1stミニアルバム『Caution』収録の楽曲を、それ以降は2ndミニアルバム『Corner of my heart』収録の楽曲を中心にしたパフォーマンスで、これまでの2年間の軌跡を辿っていくダブルアンコールを含めた全17曲での構成となっている。デビュー前に行われた『IDOL3.0 PROJECT』オーディションの再現といった当時からのSCOPIST(ファンの呼称)にとっては感慨深い、最近ファンになったSCOPISTにとっては新鮮な寸劇もありながら、新たなOvertureのお披露目、さらにキャプテン&副キャプテンの発表と、3年目へとグループが歩みを進める未来を提示するライブでもあった。


まず、大きなトピックとして、およそ1カ月のあいだ、活動を休止していたメンバーACEの復帰公演となったこと。前半に披露された「コヨーテが鳴いている」の歌い出し、さらには本編ラストに歌唱したバラードの「愁情」といった特にボーカル面でグループの柱となっているACE。SCOPISTの温かな歓声に、思わず涙が溢れる。復帰のタイミングについて、ほかアイドルグループも出演するイベントではなく、「特別な日に、11人でステージに立ちたい」という思いから、この日を選んだと明かす。



デビューからひとりも欠けることなく11人で、2年間という月日を走り抜けてきたWHITE SCORPION。ドキュメンタリー映像『The Real』にも映し出されているように、2年目以降はライブの動員数で伸び悩みを見せるなかで、メンバー一人ひとりの自覚や発信力、そしてパフォーマンス力が求められる日々を過ごしてきた。過去最大規模の会場となった今回の品川ステラボール公演は、見事ソールドアウト。今年3月より開催してきた定期公演『ホワイトスコーピオン BASE Live』で育んだパフォーマンス力に、SCOPISTの熱量が加わることで、2年間の集大成とも言える一体感が生まれる。もはや職人の域に達しているNICOの煽りや「なんて僕は無力なんだろう」での間奏で展開されるNAVIのソロダンス“SUPER NAVI TIME”など、センターのHANNAだけでない、11人あってのWHITE SCORPIONだということをあらためて感じさせる。






WHITE SCORPIONの初主演ショートドラマ『いじめっ子の11転生』に登場するロッカーをステージ演出に取り込んだり、冒頭の「Satisfaction graffiti」「非常手段」「コヨーテが鳴いている」を一連の流れで見せるアレンジが入っていたりしながら、筆者が驚いたのは後半のブロックで会場の客席フロアに突如サブステージが出現し、そこで「Corner of my heart」「希望には羽がついてる」を、さらに「Beach Opening」では客席に降りてパフォーマンスしていたことだ。『BASE Live』でメンバーが観客エリアを縦断する“蠍の十戒”を筆頭にして、WHITE SCORPIONのライブはSCOPISTを巻き込んでいくサプライズ演出が魅力のひとつになっているが、今回のサブステージの出現も、それに近い演出だったように思う。
キャプテン制度の導入と新Overtureの制作は、メンバー自らが考案したアイデアだった。そして、キャプテンはAOI、副キャプテンはALLY、COCOのふたりに決定。メンバーにもサプライズでの発表となった。AOIは「このグループを守って支えていかなきゃいけない」という責任を感じながらも、「キャプテンに選んでいただいた以上はたくさん悩んで、たくさんぶつかって、前に進み続ける覚悟を持ってこの役割を全力で務めたいと思います」と宣言。キャプテン就任以降は、グループの中心となってMCを務めていた。




最年長として初期からグループをまとめてきたALLYは、AOIをサポートしていきながら、「一緒に二人三脚で、グループ全員で前を向いて突っ走っていきたいと思います。みんなに愛されるグループにしたいですし、SCOPISTみんなを愛すグループにしたいと思っています」と目の前にいるファンに向けて呼びかける。2人目の副キャプテンとして名前を呼ばれたCOCOは、まさかの事態に言葉を失いながらも、「3人で引っ張っていこうね!」とAOI、ALLYとともに意気込んでいた。
10曲以上の候補から選ばれたという新たなOvertureは、重低音がズンズン鳴り響く凶暴なEDMをベースとした楽曲。現在、WHITE SCORPIONは「眼差しSniper」「Corner of my heart」のようないわゆるクールな楽曲、2年目に打ち出された「I do love you!」「Beach Opening」のようなポップで爽やかな楽曲があるが、新Overtureは前者に重きを置いたアレンジ。新Overtureからの「Corner of my heart」、さらに新Overtureからのメンバーラップと、この日は2度、新Overtureが会場に轟いていた。ほかアイドルグループも出演するイベント出演時に、まだ見ぬファンを惹きつける要素になっていきそうだ。




オーディションを再現した寸劇のあと、CHOCOが読み上げた手紙には、SCOPISTへの感謝とWHITE SCORPIONが掲げている夢の会場が述べられていた。
「東京ドームという夢を1日でも早く一緒に叶えることで最高の恩返しができるよう、私たちは走り続けます。それまで絶対にこの11人で、WHITE SCORPIONでいたいし、ここにいるSCOPISTが誰ひとり欠けることなく。そんな夢の景色が見られるのを心から願っています」
前に進もうともがく発展途上のグループだとしても、ここが東京ドームへの通過点だと信じて。WHITE SCORPIONの“進撃”は、ここから始まる。


























