HANA、Fukase、マカロニえんぴつ、なにわ男子、新しい学校のリーダーズ、幾田りら……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はHANA「NON STOP」、Fukase「Bullying Lovers」、マカロニえんぴつ「NEVERMIND」、なにわ男子「Never Romantic」、新しい学校のリーダーズ「Go Wild」、幾田りら「Latata」の6作品をピックアップした。(編集部)
HANA「NON STOP」
今年1月に始動し、「Drop」「ROSE」「Blue Jeans」などがストリーミング1億回再生を突破。音楽性、メンバーの個性、グループ全体のコンセプトを含めて、J-POPシーンに新たな潮流を生み出しているHANAから、2025年の締めくくりとなる楽曲が届けられた。「NON STOP」とタイトルされたこの曲は、「ウチらの夢は富士山よりデカい」というようなメッセージを高らかに鳴らすボースティングソング。〈めちゃ高い10分のステージmore then your家賃〉などのパンチラインを次々と繰り出し、超ドープなHIPHOPをいちばんカッコいいポップソングに昇華できるのは、現状HANAしかいないのでは。彼女たちに憧れ、やりたいことをやり始める女性たちがこの国を変える。そんな未来がきてほしいと心から願う。(森)
Fukase「Bullying Lovers」
12月26日発売のソロアルバム『Circusm』からの第2弾先行配信曲。ここでのFukaseはラッパーのポジション。積極的に暗部を覗き込み、過激なワードを次々と放つ姿に、大人気バンドボーカルの面影は見当たらない。楽曲のテーマはネットで散見される陰湿なリンチであり、救いようのない愚行を羅列する言葉、自分さえ突き放す冷めた視点には、背筋が凍るばかり。本人のX(旧Twitter)投稿によればこのソロは「ある種のデトックス」(※1)であり、毒素を半端に中和する気もなかったのだろう。SEKAI NO OWARIの人だからといった遠慮のなさが清々しく、同時に、SEKAI NO OWARIであれだけの世界を見てきた人だからこそ書き切れる内容にもなっている。アルバムではどこまで抉るのか? 興味津々。(石井)
マカロニえんぴつ「NEVERMIND」
透明感のあるシンセ、〈キスから始まる愛は〉で始まる少し無機質な歌声、4つ打ちのビートが聴こえたきたときは「エレクトロ的ダンスチューンかな?」と思ったのだが、50秒過ぎに突如ヘヴィなギターが炸裂し、雰囲気がガラッと変わる。その後もこちらの予測を気持ちよく裏切り続け、聴き終わったときは「マカえん流のプログレ?」という感想に着地したのだが、つまりはジャンルの枠を気持ちよく超え続ける彼ららしいロックナンバーということだ。メンバー全員のプレイヤーとしての個性がせめぎ合う演奏も最高。身体性をダイレクトに発揮し、生身のバンドサウンドを前面に押し出したニューアルバム『physical mind』を象徴する楽曲だと思う。(森)
なにわ男子「Never Romantic」
メンバーの高橋恭平がクアトロ主演を務め、藤原丈一郎も出演する映画『ロマンティック・キラー』ミラクルテーマソング。絶対に恋したくない女子高生VS襲いかかる無数のロマンティック・トラップというストーリーはあらすじを読むだけで楽しいが、期待に輪をかけるのがこの楽曲。甘くキラキラな恋の予感をハイテンションに詰め込みまくったロマンティック爆弾といった趣で、ここまでラブリーかつキャッチーに振り切れたアイドルソングは、現在なにわ男子しか歌えないかもしれない。〈バキュン!〉〈ズキュン〉の連呼はもちろん、「ねえ、俺と恋しようよ……」なんてセリフ導入もたまらない。これはもう、こういう世界の極上ファンタジーとして楽しんだ者勝ちである。(石井)
新しい学校のリーダーズ「Go Wild」
ベストアルバム『新しい学校のすゝめ』に収録されていた未発表新曲がサブスク解禁。制作にはメンバー4人もがっちり関わっており、ザ・和モノといったイントロからノンストップのビートになだれ込む開始30秒の展開に、なるほど今のグループの勢いが如実に表れている……と思ったが、よく聴けばこれ、90年代に大ヒットしたラテンポップス名曲「恋のマカレナ」(Los Del Rio)オマージュか! 思わず吹き出すチョイスの妙味、「やるなあ」と膝を打つカッコよさのバランスは、さすが新しい学校のリーダーズである。メロディや言葉の深みよりも勢いで押し切っていくタイプの曲だが、一発で黙らせる、のみならず、全世界を瞬時に踊らせる曲という意味で、これ以上のパワーソングもないだろう。(石井)
幾田りら「Latata」
前作アルバム『Sketch』以来、約3年ぶりのフルアルバム『Laugh』。話題のタイアップ曲を満載したエンタメ性に溢れる本作のなかで、個人的にもっとも惹かれたのが3曲目の「Latata」だった。心地よく飛び跳ねるリズム、〈Latata…〉というコーラスから始まるダンサブルなナンバーなのだが、ソウル、ファンク、ディスコなどの古き良き音楽の雰囲気を感じさせつつ、きわめて現代的なポップミュージックへと導くセンスとスキルがとにかく素晴らしい。サビでもあまり高音に行き過ぎず、心地よいグルーヴをキープしたまま進んでいくメロディラインも絶品。決して派手さはないものの、誰もが一瞬で楽しい気持ちになり、耳の肥えたリスナーも魅了できる楽曲だ。(森)
※1:https://x.com/fromsekaowa/status/1996180549300535586



























