久保史緒里がアイドル人生最後の日に刻んだ“乃木坂46”という青春ーー愛溢れた卒業コンサートを振り返る

「最高の9年間でした」ーー有終の美に相応しいパフォーマンスでフィナーレへ
DAY1とは異なる選曲による“期別ブロック”では、「タイムリミット片想い」「絶望の一秒前」「4番目の光」といった後輩たちの楽曲のみならず、1期生の「Against」、2期生の「アナスターシャ」まで披露され、グループの礎を築き上げた卒業メンバーたちへのリスペクトと愛情もにじませる。さらに、3〜6期生が勢揃いする「設定温度」のほか、自身にとっての原点である「三番目の風」を3期生5人のみでパフォーマンスすると、ライブはいよいよ佳境へ突入する。


久保がピアノ伴奏をする「きっかけ」から始まる最終ブロックでは、「最後のTight Hug」「君は僕と会わない方がよかったのかな」とセンチメンタルかつエモーショナルなミディアムナンバーを連発。華やかさが際立つ「シンクロニシティ」を経て、久保がセンターを務めた3期生楽曲「僕が手を叩く方へ」では、メンバーとオーディエンスがクラップでひとつになり、感動的な空気の中ライブ本編は終了した。


アンコールは久保の父母からの手紙から始まるのだが、この手紙を代読したのが松本潤と有村架純。かつて久保が出演した大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合)で共演したふたりがナレーションを務めていることがわかると、会場からはどよめきの声が湧き起こる。先の映像演出における平祐奈や古田新太の特別出演然り、久保がこの9年間に繋いできた縁がアイドル人生最後の日にこうして明確に形として提示されると、いかに彼女がグループのために外で頑張り続けたのかが理解できたはずだ。

そして、純白のドレスを纏った久保がステージに登場すると、9年間支えてくれた家族やこれまで関わってくれたスタッフ、メンバーやファンへの感謝が伝えられていく。彼女は「皆さんは『乃木坂46になってくれてありがとう』って言ってくれるけど、私はただただ乃木坂46が大好きで、夢のような時間を過ごしていただけで、感謝されるとは思っていませんでした。乃木坂46の久保史緒里を愛してくれて、本当にありがとうございました。決して近道ではない乃木坂人生でしたが、悔いなく卒業することができそうです」と口にすると、卒業に際して制作されたソロナンバー「夢の匂い」を歌唱し、有終の美に相応しいパフォーマンスを届けてくれた。


感傷的な雰囲気も、ほかのメンバーが再登場して「キャラバンは眠らない」「ダンケシェーン」を披露することで、会場は再びポジティブな空気で充満。キャプテンの梅澤が「改めて久保の才能に触れた、それに気付かされた2日間だったと思います。こんなに乃木坂46を愛してきた人に、卒業後もずっと好きでいてもらえるグループになることが新しい目標です」と久保に伝えると、最後は久保の「乃木坂人生最後は、この曲で締めくくりたいです!」という言葉から「思い出ファースト」へ。アリーナ外周を歩きながら、久保は「最高の9年間でした! ありがとう!」と叫び、これ以上ないほどの笑顔で2日間にわたる『乃木坂46 久保史緒里 卒業コンサート』はフィナーレを迎えた。


青春のキラキラ、迷いや葛藤、だけど何にも負けない無敵感がダイレクトに表現された2日間は、まさしく久保史緒里そのものだった。久保のアイドル人生を締めくくるものとしてはこれ以上ないほど完璧な内容だったが、それと同時に「乃木坂46というアイドルグループを推し続けたひとりの乃木坂オタク」による“私が作る最強のセットリスト”でもあったのかな……と公演から数日経った今も、筆者はあの2日間の思い出に浸っている。
と同時に、久保が卒業した乃木坂46がここからどんな未来を見せてくれるのかも気になるところ。最新シングル『ビリヤニ』では6期生の瀬戸口心月と矢田萌華がダブルセンターを務め、早くも“新たな可能性”を見せてくれたが、2026年はこの“新たな可能性”をたくさん感じられる飛躍の1年になってほしい。そう思わずにはいられない。


■セットリスト
『乃木坂46 久保史緒里 卒業コンサート』
11月26日・27日 神奈川・横浜アリーナ
・DAY1(11月26日)
00. Overture
01. 不等号
02. 生まれたままで
03. 13日の金曜日
04. My rule
05. あの日 僕は咄嗟に嘘をついた
06. なぜ 僕たちは走るのか?
07. 熱狂の捌け口
08. I see...
09. 毎日がBrand new day
10. Hard to say
11. 意外BREAK
12. せっかちなかたつむり
13. 光合成希望
14. 言霊砲
15. シンクロニシティ
16. ごめんねFingers crossed
17. Actually...
18. 涙がまだ悲しみだった頃
19. 孤独な青空
20. 好きというのはロックだぜ!
21. ビリヤニ
22. 未来の答え
23. 泣いたっていいじゃないか?
24. 帰り道は遠回りしたくなる
25. 羽根の記憶
26. 君の名は希望
アンコール
EN1. 歳月の轍
EN2. サヨナラ Stay with me
EN3. 甘いエビデンス
EN4. ひと夏の長さより…
・DAY2(11月27日)
00. Overture
01. 不眠症
02. 何度目の青空か?
03. 走れ!Bicycle
04. 太陽ノック
05. 錆びたコンパス
06. Never say never
07. 平行線
08. 雲になればいい
09. 価値あるもの
10. 今、話したい誰かがいる
11. 嫉妬の権利
12. ありがちな恋愛
13. 人は夢を二度見る
14. 狼に口笛を
15. 私のために 誰かのために
16. 日常
17. タイムリミット片想い
18. 絶望の一秒前
19. 4番目の光
20. 設定温度
21. Against
22. アナスターシャ
23. 三番目の風
24. きっかけ
25. 最後のTight Hug
26. 君は僕と会わない方がよかったのかな
27. シンクロニシティ
28. 僕が手を叩く方へ
アンコール
EN1. 夢の匂い
EN2. キャラバンは眠らない
EN3. ダンケシェーン
EN4. 乃木坂の詩
EN5. 思い出ファースト


























