B'z、Vaundy、Awich、Hey! Say! JUMP、RIIZE、ヤングスキニー……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はB'z「The IIIRD Eye」、Vaundy「軌跡」、Awich「Fear Us feat. Joey Bada$$ & RZA」、Hey! Say! JUMP「メロリ」、RIIZE「Fame」、ヤングスキニー「るっせぇ女」の6作品をピックアップした。(編集部)
B'z「The IIIRD Eye」
ともに1960年代前半生まれの松本孝弘、稲葉浩志は、1971年に放送が始まったアニメ『ルパン三世』(日本テレビ系)をリアルタイムで体感した世代であり、モンキー・パンチが作り上げたスタイリッシュで軽妙かつハードボイルド的な世界観に惹かれていたであろうことは想像に難くない。それから40年以上が過ぎ、映画『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』主題歌として制作された「The IIIRD Eye」は、まさに“B'zとルパンのセッション”と呼ぶべき楽曲だ。軸になっているのはハードロック×ジャズ。さらに華やかさと緊張感を併せ持ったホーンセクション、スリリングなボーカルの旋律が絡み合い、独創性とエンタメ感を同時に感じさせる楽曲へと結実している。原作へのリスペクトを込めながら、新たな表現へと飛翔させた意義深いコラボレーションだと思う。(森)
Vaundy「軌跡」
紀行ドキュメンタリー『世界遺産』(TBS系)新テーマ曲。Vaundyは初のオーケストラ編成楽曲を書き下ろした。レコーディングはロンドン・Abbey Road Studiosで行われた。ひとり完結型のマルチクリエイターである彼にとって、最も大きな挑戦であり、最も大きなプロジェクトになったのではないか。どこまでも壮大な主旋律と副旋律がいくつも絡み合う楽曲にポップシンガー・Vaundy印は見当たらない。たとえるなら、久石譲やジョン・ウィリアムズの仕事に近く、「作曲家の名前は知らなくても、あの映画のテーマはみんな知っている」という現象を起こす、まさにテーマソングらしいテーマソングが完成した。(石井)
Awich「Fear Us feat. Joey Bada$$ & RZA」
Wu-Tang Clanのリーダー・RZAが全面プロデュースした衝撃のアルバム『Okinawan Women』収録曲。Awichはほぼ英語でラップしているが、ただレジェンドに憧れている様子はなく、アルバム全体を通して東洋の精神とニューヨークHIPHOPがしっかり溶け合っているのがすごい。この「Fear Us」は、世界を変えることの困難さ、マイノリティが立ち上がることの難しさを見つめつつ、それでも未来に向かう意思を歌うもので、RZAのほか、ニューヨーク拠点の凄腕ラッパー、ジョーイ・バッドアスも参加。寂しさの中にどこか光を感じるトラックも、沖縄の女性にしか言えないメッセージの数々も、もう全面的にクール。世界中のヘッズが今すぐAwichを見つけそうだ。(石井)
Hey! Say! JUMP「メロリ」
12月12日発売のニューアルバム『S say』から先行配信されたリード曲のひとつ。作詞作曲は若手凄腕ベーシストのMINA。軽やかで明るいポップスでありつつ、本人演奏のベースラインが縁の下を突き破ってくるような主張を続けている。またMVはメンバーの有岡大貴が企画を考案。Hey! Say!(平成)の質感にこだわり、ガラケー、写ルンです、チェキなどを効果的に使いながら、昔のデートを思い出してエモくなる(ような妄想が続く)内容に仕上げてきた。顔の近くで指を動かす振り付けも含め、これは企画勝ちというか、Hey! Say! JUMPメンバーのかわいさ勝ちか。〈メロ・メロリ〉の響きもポップでいい。(石井)
RIIZE「Fame」
エキゾチックな手触りのビート、全体を包み込むダークな音像。5月にリリースされた1stアルバム『ODYSSEY』以来、約半年ぶりに届けられた新曲「Fame」は、RIIZEの新たな魅力をアピールする楽曲だ。HIOPHOP、ダンスホールレゲエなどを融合させたトラック、奥行きのあるシンセや鋭利なギターサウンドなどを活かしたアレンジの中で響くのは、憂いと力強さを共存させたメンバーの歌声、ラップ。「偽物の名誉はいらない」という強い思いを刻んだリリックも心に響く。2023年のデビューからわずか2年で世界を席巻するグループに成長したRIIZE。「Fame」から伝わる「環境の変化に奢ることなく、自分たちの表現を貫きたい」という決意は、彼らをさらに高いレベルへと引き上げる原動力になりそうだ。(森)
ヤングスキニー「るっせぇ女」
何度「好き」と言っても納得してくれず、泣いてしまった彼女に〈涙と暴力は同じ〉などと言い放ち、次の瞬間に〈最低な発言でした〉と謝る(しかも笑いながら)という男を主人公にした「るっせぇ女」はコンプラ的にたぶんギリギリアウトなアッパーチューン。ポップに研ぎ澄まされたバンドサウンド、エモさとキャッチーさを放つメロディラインも“らしさ”全開だが、この歌詞にはヤングスキニーがヤングスキニーである理由がダイレクトに刻まれている。謝罪会見をモチーフにしたMVからも彼らが全部わかってやっていることが伝わってくるが、だとしても、この曲を聴いて「ムカつく!」というリスナーはいると思うし、賛否両論、ハレーションもまた良し。それにしてもこの曲の主人公は最低だ(笑)。(森)



























