Vaundy、Snow Man、LE SSERAFIM、BE:FIRST、緑黄色社会、礼賛……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はVaundy「偉生人」、Snow Man「悪戯な天使」、LE SSERAFIM「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」、BE:FIRST「I Want You Back」、緑黄色社会「My Answer」、礼賛「超BUSY」の6作品をピックアップした。(編集部)
Vaundy「偉生人」
鋭い爽快感と称したくなるバンドサウンドのなかで響くのは〈愛しさと未来を/もう、笑っていこうぜ〉というライン。今年1月から続いている毎月の連続リリース第10弾となる「偉生人」は、2021年放送の吉沢亮主演による大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合)のインスパイアードソングとして制作されたアッパーチューン。4年を経てついに正式リリースとなったわけだが、既存の常識やシステムを疑い、「笑いながら未来に進んでいこう」とメッセージするこの曲は、むしろ2025年の社会にこそフィット(またはアゲインスト)しているように感じる。「偉生人」のポジティブな波動は、来年2月からスタートする4大都市ドームツアー『Vaundy DOME TOUR 2026』の追い風になりそうだ。(森)
Snow Man「悪戯な天使」
11月5日発売のアルバム『音故知新』収録曲のひとつで、メンバーの岩本照主演ドラマ『恋する警護24時 season2』(テレビ朝日系)の主題歌。Hiromi、Baby Scentの共作による楽曲は昭和歌謡を踏襲したもので、ダサさと紙一重のメロディ、言葉をまったく詰め込まない、いささか間延びしているような譜割りは、あえて今のSnow Manに当てるから面白いのだろう。〈君に届くまでのデスティニー〉なんて令和の時代にどうかと思う歌詞だが、9人が難なく歌いこなし、キレのあるダンスでちゃんと魅せてしまうから“アリ”になってしまう。似合う曲調が限定されないのもトップアイドルの条件。クサい曲だがキックの入れ方はちゃんと現代的だ。(石井)
LE SSERAFIM「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」
7カ月ぶりのカムバックとなる1stシングルで、表題曲「SPAGHETTI (feat. j-hope of BTS)」はBTSのj-hopeを迎えたバージョン、メンバー歌唱バージョンなど多彩な品揃え。じっくり聴かせる楽曲というよりは、たっぷり遊び甲斐がある曲だからこの提示なのだろう。ファンキーなトラックには愛らしい装飾音や打音が飛び交い、メンバーはメロディとラップを巧みに混ぜながら〈SPAGHETTI〉と〈Bon appetit〉で韻を踏む。繰り返される〈Eat it up〉が「いれらー、いれいれらー」と聴こえるのも中毒性抜群で、今まで透明感や完成度の高さが語られてきた彼女たちが、このような遊び心を前面に押し出してきたことが興味深い。MVに見る首振りダンスもつい真似したくなる。(石井)
BE:FIRST「I Want You Back」
マイケル・ジャクソンを擁した伝説的ダンスボーカルグループ、The Jackson 5の代表曲「I Want You Back」(1969年)。この曲が世界を魅了してから56年、日本から世界を目指し、BE:FIRSTのリメイクカバーが誕生した。SKY-HIとSunnyがプロデュースを担当。原曲のリフ、ギターカッティング、ストリングスなどを活かしつつ、生バンドでアナログ録音されたこのバージョンは、まさに温故知新的な魅力を放っている。卓越したラップ、ハーモニーの技術をナチュラルに反映したメンバーのパフォーマンス、そして〈取り戻す記憶の奥にまた火を灯す〉というラインも印象的。その根底にあるのは、過去の偉大な音楽へのリスペクトと、新たなミュージックシーンを切り開く意思なのだと思う。(森)
緑黄色社会「My Answer」
「運命の出会いだ!」と思ったとしても、その先の人生をともにできるかどうかは別問題。日常の小さなことから将来的なビジョンまで、あらゆるフェーズで選択を重ねながら進むしかないけど、それって本当に難しいよね――。作詞を長屋晴子(Vo/Gt)、作曲を穴見真吾(Ba)が担った緑黄色社会の新曲で、ドラマ『緊急取調室』(テレビ朝日系)主題歌である「My Answer」には、多くの大人が経験しているであろう、そんなテーマが込められている。不穏な響きから始まり、徐々に高揚感を増していくバンドサウンド(ストリングスのアレンジが秀逸!)、揺れながらも決断を重ね、自分の足で生きていく決意を感じさせる長屋のボーカルも、楽曲に込めたメッセージをしっかりと際立たせている。(森)
礼賛「超BUSY」
ラランドのサーヤ=CLR、川谷絵音=晩餐らによる5人組バンド、日本武道館公演を目前にした最新の配信曲。J-POPもHIPHOPもR&Bも呑み込む雑食性は彼らの特性で、この曲は休日課長=春日山ベースを中心として強烈なグルーヴを作り出す人力HIPHOP。2本のギターはカッティングや浮遊系のノイズを繰り出すだけで、ドラムも手数は最小限。とにかくベースラインが気持ちいい、それだけで2分半ずっと夢中になっていられる曲だが、同時にCLRのラップ、言葉選び、声色の使い分けや、ふとした色気の滲ませ方もゾクゾクするほどかっこいい。人生の粋な遊び方を見せつける姿勢がクール。(石井)

























